2023 Fiscal Year Research-status Report
Environmental sociological verification of the area after compliance with the Industrial Waste Special Measures Act
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20K02092
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
堀畑 まなみ 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (40348488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 賢 明治学院大学, 社会学部, 教授 (80308072)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 産廃特措法 / 香川県豊島 / 青森・岩手県境不法投棄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、産廃特措法で対応した事例において、地元の地域住民にとって納得がいくものであったのか、何を意味したのかを明らかにし、環境社会学的に検証することである。 2023年度は特措法で対応した香川県豊島不法投棄問題の調査と青森・岩手県境不法投棄問題の調査を実施した。 香川県豊島は廃棄物の搬出が2017年3月(2016年度末)に廃棄物の最終搬出が終わり、2023年3月(2022年度末)に整地工事が終了した。2023年7月には、この問題は瀬戸内海の問題であるとして取り組んできた環瀬戸内海会議が主催したシンポジウムがあり、出席し、これに合わせて関係者へヒアリングを実施した。豊島では不法投棄現場を裁判を経て豊島住民会議が入手しており、整地が終わった土地を自然に返すことが決まっていることがわかった。これについて、福武財団に売却するべき、という意見が出ていることを確認した。瀬戸内国際芸術祭を機に、廃棄物問題を不可視化させたい住民がでてきてはいたものの、廃棄物問題を豊島全体で対応することには賛成であったが、廃棄物問題に一段落がつき、この問題に熱心であった世代から徐々に代替わりしてきたため、住民の意見が多様化してきていることがわかった。 青森・岩手県境不法投棄問題は、2022年度から関係者にご教授をいただいている。本年度は、関係者からいただいた資料の読み込みと現地視察を実施した。周辺住民がいない場所での不法投棄であり、こちらも特措法での対応が終わって一段落ついたため、地元として、この問題に関心を持ち続けることがとても困難な事例であることが理解できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
香川県豊島問題は長期にわたってフィールドワークをしている場所であること、青森・岩手県境不法投棄問題は豊島問題を通じて関係者につながることができている事例であるため、現場の状況の確認や、資料の入手など、予定通りの進捗状況である。また、特措法の期間が終了したことで、報告書などの資料がでてきていることから、文献調査も進めることができた。 やや遅れているとしたのは、本研究の1つの柱であった宮城県村田町竹の内産業廃棄物不法投棄問題の住民側代表がお亡くなりになり、昨年度から近しい関係者を探しているものの、いまだに見つけることができず調査が中断しているためである。村田町の事例は、特措法からの支援は少なく、豊島や青森・岩手と違い、廃棄物の撤去をすることが選択できず現地封じ込めで対応している。住民側が行政の対応についてどのように考えていたのか、まだ当時の資料を入手できていない。2022年度に住民に話を聞くことはできているが、高齢であるため長い時間聞くことはできなかった。封じ込めについて非常に残念に思っていることは理解できているが、現在立ち入り禁止となっている不法投棄現場のその後を、関係していた住民はどう考えているのかなど、まだ調査が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最後の年であるので、産廃特措法で対応したケースについて新聞資料や文献などで全体的に調査を行う予定である。調査対象としていた事例については引き続き、調査を行っていく。 香川県豊島産業廃棄物不法投棄問題については、豊島住民会議関係者へのヒアリングを実施し、自然に返すことについての住民側の思いを、また、この問題の継承についてどのように考えているのかを明らかにしていく。 青森・岩手県境不法投棄問題については、まだ実施していない行政関係者へのヒアリングを行う。行政には、以下の内容についてヒアリングを行う。特措法での対応についてどのように進めていったのか、両県の連携はどのように行ったのか、周辺に住民がいない場所での不法投棄をさせないために何を行っているのかなどである。また、不法投棄が行われた土地の利用についても伺う予定である。 村田町竹の内産廃不法投棄事件については、ウェブ上にある住民代表者が残した資料を分析するとともに、引き続き住民側の関係者を探していく。問題発生当時は、産廃処分場ネットワークが活発に活動をしていたので、そちら側の関係者からもアプローチする予定である。9月までに関係者が見つからない場合は、行政へのヒアリングを行い、問題の整理を行い、この問題の経緯の理解を深める。立ち入り禁止となっている現地について、汚水の処理はいつまでどの予算で行うのか、住民に返還できるかどうかなど、これからの予定について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
予算の多くが現地調査であるため、2023年度に現地調査がなかなかできず、2024年度に調査を実施することにしたため、次年度使用額が生じた。宮城県村田町竹の内産業廃棄物不法投棄事件の関係者がなくなってしまい、この問題を詳細に知っている住民側の方を見つけることができず、計画が遅れてしまった。また、香川県豊島産業廃棄物不法投棄事件について研究協力者の体調不良もあり、数回予定していた現地調査が1回になってしまったことも大きい。 2024年度は、①9月までに村田町産廃問題の住民側関係者が見つかれば秋以降に集中的に現地調査を実施する。見つからなかった場合は行政側の調査に切り替える。②豊島調査は夏と秋に実施する。③青森・岩手産廃不法投棄事件は、住民側の方2名を把握できたため、2名の方に調査を実施するとともに、行政側にも調査を実施する。
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