2021 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a Methodology for Surveying the History of Life Surrounding Houses: An Empirical Study for Succession Practice
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20K02093
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笠井 賢紀 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (80572031)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活史 / 家屋 / 住居 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、空き家問題に代表される<住み継ぐこと>に関する課題について、縮小社会における選択的な住み継ぎという観点に立って行うものである。特に、家屋をめぐっては住居そのものだけでなく、当該家屋での生活に埋め込まれた地域性や共同性があり、それらは金銭的合意と共に<住み継ぐこと>に関して重要な位置にあると考えられる。 本研究では、個人生活史から地域性・共同性を描く方法論について、前年度の調査結果に基づいて議論を深めた。対象地における6件の聞きとり結果(20万字)の分析の結果、たとえば「高度経済成長期を経た生活の変化」といったテーマを設定して語りを考察すると、家屋をテーマにしたからこそ生活史と地域性・共同性を接続して分析可能な部分が見られることが確認できた。具体例として、燃料、水利用、家畜の3項目について確認したところ、いずれの項目についても家屋を超え、集落内・集落間関係といった広い空間における地域性・共同性の観察が可能であった。各項目は、それぞれ別個の調査をすることによっても語りを引き出せるが、家屋史というアプローチによって、生活全般に広く触れられる点が調査法としては重要である。 また、当初計画通りに、住民、行政、研究者、建築家、デザイナーの共同による家屋史調査を継続して実行している。同調査では、家屋所有者の価値観の変化、食生活の変化、家屋近隣の遊び場の変化といった話題が共通して家屋史調査に登場することが示唆されており、今後分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により現地調査の回数は制限を受け、それに伴って論文を執筆するのに十分な調査結果が揃ったとは言えない状況である。とはいえ、研究実績の概要に記載したとおり、分析は一定進んでおり、次年度に向けておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査が十分に行えない状況が続く中、多アクターによる共同調査を中心とした研究計画の見直しが必要である。また、最終年度であることを踏まえ、学会発表・論文投稿等の研究実績を積みたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた現地調査が行えなかったことにより、当初計画と異なる支出状況となったため次年度使用額が生じた。次年度の調査用旅費に計上したい。
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Research Products
(4 results)