2022 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study for analyzing factors causing systematic misperception of news information
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20K02096
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小笠原 盛浩 東洋大学, 社会学部, 教授 (00511958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (70433761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 虚偽情報 / 誤認知 / ニュースレパートリー / ソーシャルメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
ニュース情報に対する事実/虚偽の誤認知を系統的に引き起こす要因として、個人がニュースメディアを使い分けているパターンであるニュースレパートリーに着目した調査・分析を実施した。具体的には、2022年参議院議員選挙後に2021年衆議院議員調査の回答者(n=2400)を対象にしたオンラインパネル調査を実施し、日本の有権者のニュースレパートリー類型を把握するとともに、虚偽情報の接触・識別・拡散行動との関連を定量的に検証した。 19種類のニュース情報源利用頻度を非階層クラスター分析に投入して分類したところ、欧米の先行研究で析出されたものと同様の、ソーシャルニュース利用者(ソーシャルメディアの利用頻度が高い)、ニュースミニマリスト(どのニュース情報源も利用頻度が低い)、伝統主義者(伝統的マスメディアの利用頻度が高い)、オンラインニュース追求者(ニュースポータルの利用頻度が高い)、ニュースのハイパーコンシューマー(どのニュース情報源も利用頻度が高い)の5類型のニュースレパートリーグループが析出された。 ソーシャルメディア利用頻度が高いニュースレパートリーグループ(ソーシャルニュース利用者、ニュースのハイパーコンシューマー)はニュースミニマリストよりも、虚偽情報への接触数が有意に多かった。虚偽情報の識別力とニュースレパートリーとの間には有意な関連がなかったが、伝統主義者はニュースミニマリストよりも虚偽情報であろうが事実の情報であろうがニュースを拡散する可能性が10%水準で高い傾向がみられた。このことは、伝統的マスメディアを主なニュース情報源としている人々は、ニュース情報を拡散する際に分析的思考が不足している可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、政治関連のニュースに限定せず消費関連のニュースについても、ニュースの受け手がニュース情報を「事実」あるいは「虚偽」と認知するプロセスにおいて、系統的な誤認知を引き起こす要因を明らかにするとしていた。しかしながら2020年から始まったコロナ禍によって、政治関連ニュースも消費関連ニュースも、虚偽情報といえば新型コロナウィルス関連の情報が非常に大きな比重を占めたことから、両者を峻別した調査研究が困難な状況が続いていた。 政治関連のニュースを「虚偽」と認知するプロセスについては、コロナ禍対策を政治的争点として捉えることができるため、2021年衆議院議員選挙調査・2022年参議院議員選挙調査と2波のオンラインパネル調査を通じてデータを収集・分析し、「研究実績の概要」に記した知見を得ることができた。同知見は海外の学術誌で近日中に発表予定である。 一方、消費関連のニュースに新型コロナウィルスが関わっていた場合は、政治関連のニュースとは異なるニュースとして調査・分析することは依然として困難でああった。この状況が変わるには早くとも2023年5月以降に新型コロナウィルスが第5類へと移行し、社会がアフターコロナへとモードが転換するのを待つ必要があった。 今後はマスメディアやソーシャルメディア上の消費関連の言説の変化を踏まえて、消費関連のニュースの誤認知について調査・分析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
政治関連ニュースの誤認知については、2021年衆院選調査・2022年参院選調査で主要なデータを収集済であるため、これらの分析と得られた知見の公表に取り組む。昨年度に1本の国内学会発表を行い、近日中に海外の学術誌で論文が掲載予定であり、国内外の学会・学術誌での発表・投稿をさらに進めていく。 消費関連ニュースの誤認知については、「現在までの進捗状況」でも述べたとおり、新型コロナウィルスの第5類以降後のマスメディア・ソーシャルメディア上の消費関連言説の動向を観察し、消費関連ニュースと新型コロナウィルスの結びつきが薄れた時期に実験調査・分析を実施する予定である。 万一、消費関連の虚偽ニュースと新型コロナウィルスや政治的な言説との結びつきが薄れず、政治関連ニュースと区別した研究実施が困難な状況が依然として続いた場合は、研究方針を見直し、政治関連ニュースの誤認知にのみ研究の焦点を当て、政治関連ニュースについて実験調査・分析を実施することとする。
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Causes of Carryover |
当初計画では消費関連ニュースの誤認知について実験調査を行う予定であったが、2022年度中のマスメディアやソーシャルメディア上の言説から、消費関連ニュースをコロナ禍・コロナ対策(政治的争点)と切り分けて研究を行うことが困難な状況が続いており、調査費が未執行となっていた。 2023年5月から新型コロナウィルスが5類に移行し日本社会がアフターコロナへとモードが推移し、今後消費関連ニュースやソーシャルメディア上の言説からコロナ色が薄れると予想されることから、消費関連ニュースの誤認知の調査・分析に次年度使用額を充てる予定である。
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Research Products
(1 results)