2022 Fiscal Year Research-status Report
Conversation analytical research on decision-making process with uncertainty during medical consultations
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20K02100
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
川島 理恵 京都産業大学, 国際関係学部, 准教授 (00706822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 泰樹 立教大学, 社会学部, 教授 (00338740)
近藤 朱音 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(臨床研究部(成育)、臨床研究部(循環器)), 臨床研究部, 医長 (00384884)
阿部 哲也 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20411506)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヘルス・コミュニケーション / 会話分析 / 意思決定過程 / 医療社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は特に遺伝カウンセリングにおけるデータ収集とプライマリ・ケアデータの分析を集中的に行った.
まず遺伝カウンセリングの現場では、協力者の病院において合計18件の出生前診断及び小児遺伝のカウンセリング場面の撮影を行った.これまでの期間で累計45件に上る.これらのデータは随時トランスクリプションを作成中である.内26件は完成しており、分析を進めている.オンライン・対面の2回のデータ検討会を開催し、分担者と共に分析内容の議論を進めている.現在は、妊娠初期の超音波により異常の見つかったケースに焦点を当て、出生前診断のための検査を進める会話の構造について分析を進めている.異常が見つかった不安な感情をいかに支えつつも、妊娠を断念するような意思決定の可能性について話し合うのか.これらの分析結果は、American Society of Human Genetics2022年年次国際学会にて「Q-A sequences in prenatal genetic counseling in Japan; conversation analytic study of NIPT and NT consultations」の内容でポスター発表を行なった.
次にプライマリ・ケアデータについては、特に意思決定過程において感情がどのように扱われているかに着目して分析を行った.どのような場面において感情表現が患者からなされ,それに対して医師が実際にどのように対応すべきかという点に関しては,十分な議論が進んでいない.会話分析を用いて,意思決定場面においてどのような連鎖上の位置で,特に患者のネガティブな感情があらわになり,医師がどのような対応を行っているのかを明らかにした.この内容は「実践の論理を描く 第13章 意思決定過程における感情表出について」勁草書房(2023) に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で病院での調査において難しい局面が生じた時期もあった.感染対策等を十分にした上で分担者と調整を行ない、データ収集を行なった.そうした厳しい中で18件のデータが収集できたことは非常に貴重であった.また貴重な着床前診断の遺伝カウンセリングのデータの収集も行うことができた. データ分析に関しては、それぞれのデータの分析を進め学会発表や出版の形にすることができた.その際、専門家や研究者より様々なフィードバックを得られることができ、それを今後の研究の上で活用していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ひきつづき遺伝カウンセリングのデータ収集を行う予定である.またこれまで収集したデータでトランスクリプトが作成されていないケースの作成を進める.同時に以下の点についてデータを横断して分析を進める.まず不確定な要素がどのように意思決定過程において語られ、影響を及ぼすのかについて明らかにする.また特定の言語様式(やっぱりなど)の表現がそうした過程でどうした役割を担うのかについて分析を進める.
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Causes of Carryover |
データ収集のための旅費が執行できなかったため次年度使用が生じた.今年度は、大きく分けて3つの項目で予算を使用する予定である.まずはデータ収集のための旅費である.フィールドである香川へのデータ収集を年間で8回ほど予定している.また成果発表の場として国際学会での発表を予定しており、その費用についても計上予定である.また最後にトランスクリプト作成のための学生アルバイトの人件費を使い、文字起こし作業を進める.
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