2021 Fiscal Year Research-status Report
Sociological Study on SDF Deployment in Border Areas
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20K02103
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Research Institution | Soai University |
Principal Investigator |
藤谷 忠昭 相愛大学, 人文学部, 教授 (30368378)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自衛隊 / 国境 / 地域社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、現地調査の計画は大幅に縮小、変更しつつ、文献研究と報告書の作成に力を注いだ。 理論的研究については、合意論、記憶論に関して、R.ローティ、E.ベルグソンなどの文献の内容を整理しつつ、P.リクールの物語論を手がかりに、集合的記憶の再構成について構想を練った。文献研究では、これまで収集した調査対象とする奄美大島、沖縄離島のそれぞれの市史、町史の内容を整理つつ、『礼文町史』などを新たに入手するとともに、樺太、千島の文献を参考に、北の国境についての知見を深めた。 8月には、事前にPCR検査を受診するなど新型コロナウイルスの感染防止に十分に配慮しつつ、非常事態宣言が解除された北海道を訪問し、礼文、稚内、旭川、札幌で自衛隊駐屯地周辺の状況を視察するとともに、各自治体でヒアリングを行い、図書館、博物館などで地域情報の収集に注力した。その結果、屯田兵、先住民族、北方領土、戦後の自衛隊配備などの北海道における記憶の独自性についての知見を深め、沖縄との類似点、相違点を整理しつつ、国境地帯における防衛施設と地域社会に関して比較する観点の析出に努めた。 3月には、非常事態宣言の明けた東京を、新型コロナワクチンの接種証明書を携え訪問し、自衛隊駐屯地周辺の状況を視察するとともに、練馬区、北区、新宿区、目黒区など各自治体でヒアリングを行い、図書館などで地域情報の収集を行った。その結果、南西諸島の場合とは異なって、駐屯地の周辺が、公園、道路、官舎、公営住宅などで民家との距離を取る工夫がなされていることを確認し、南西諸島での駐屯地配備の状況との比較の観点を得ることができた。 なお、これまでの文献研究と現地調査で得られた知見を基に、沖縄、北海道の軍事施設と地域社会について報告書等を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献研究やこれまでの調査の整理については、予定通り進展したが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していた現地調査を十分に実施することができなかった。対象地域に緊急事態宣言が発令されている時期はもちろん、緊急事態宣言が明けた後も、各自治体サイトにおいて訪問者の受け入れ状況を確認しつつ、調査の実施を慎重に検討した。とりわけ、感染について懸念が広がり、頻繁に緊急事態宣言が発令された沖縄、特に医療状況が十分ではないと想定される離島地域への訪問は断念せざるを得なかった。国境地域との比較を目的として訪問した北海道、東京でも、住民のみなさんと直接、接することが憚られたため、各自治体の担当部局での簡易なヒアリング、現地視察や、図書館等での地域についての情報収集に努めるにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度、2021年度に注力した文献研究に基づいて、予定していた現地調査を、新型コロナウイルスの感染の状況を引き続き注視しつつ、慎重に進め、本プロジェクトの完成に一歩でも近づきたい。特に調査の滞っている与那国、石垣、宮古、奄美大島の離島地域については、各自治体のサイトなどで受け入れ態勢を見極めつつ、可能な限り現地を訪問したい。なお、状況によっては、比較対象となる沖縄以外の地域を選定し、比較調査を実施したいと考えている。 文献研究についても、同様に状況を見極めながら、各市町村、現地図書館などでの情報収集に努める予定である。併せて、合意論、記憶論についての文献研究を、引き続き進めたい。 また、これまでの現地調査、文献研究で得た情報を、報告書としてまとめる作業も継続したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していた現地調査を十分に実施することができなかった。とりわけ、感染について懸念が広がり、頻繁に緊急事態宣言が発令された沖縄、特に医療状況が十分ではないと想定される離島地域への訪問は断念せざるを得なかった。 2020年度、2021年度に注力した文献研究に基づいて、予定していた現地調査を、新型コロナウイルスの感染の状況を引き続き注視しつつ、慎重に進め、本プロジェクトの完成に一歩でも近づきたい。特に調査の滞っている与那国、石垣、宮古、奄美大島の離島地域については、各自治体のサイトなどで現地の受け入れ態勢を見極めつつ、可能な限り現地を訪問したい。なお、状況によっては、比較対象となる沖縄以外の対象地域を選定し、比較調査を実施したいと考えている。 文献研究についても、同様に状況を見極めながら、各市町村、現地図書館などでの情報収集に努めたい。併せて、合意論、記憶論についての文献研究を、完成に向け、引き続き進めたい。
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Research Products
(3 results)