2020 Fiscal Year Research-status Report
戦前期における高学歴ホワイトカラーの職業経歴に関する計量歴史社会学的研究
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20K02104
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
渡邊 勉 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30261564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 聡 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00346248)
山藤 竜太郎 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (00432055)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高学歴ホワイトカラー / 職業経歴 / 高等商業学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、主にデータ収集、データ加工、試行的な分析をおこなった。データ収集については、神戸高等商業学校の卒業生1480人(1907-09年卒335人、1916-18年卒396人、1928-30年卒749人)に関して、各年の『学校一覧』掲載の名簿をもとに職歴データを作成した。各年の『学校一覧』に掲載されている名簿をすべてデータ化し、名前によって同一人物を特定し、最大1907年から1937年までの各個人の毎年の職業をデータ化していった。当初のデータはテキストデータであることから、次に産業、従業上の地位、企業規模、地域、などについてコード化する作業もおこなっていった。企業名から産業、企業規模、地域などを特定する作業は、時間のかかる作業であり、まだ十分には終わっていない。このデータをもとに試行的に計量分析をおこない、戦前の高学歴ホワイトカラーの職歴の特徴を明らかにした。より詳細な分析は次年度以降になるものの、単純集計、クロス集計表の分析から、離散時間ロジットモデルによる分析により、特に長期雇用の時代変化、産業変化の傾向について明らかにした。分析からは、長期雇用の傾向が昭和期に入って見られるようになっていること、産業によって長期雇用の傾向が異なること(金融業では長期化の傾向があるが、商社では長期化の傾向はみられないなど)など、新たな知見を得ることができた。これほどの大規模な職業経歴データによる戦前の高学歴層の計量的な分析はこれまで存在せず、その意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、大きく2点において研究が遅れている。第一に、データ収集が進んでいない。当初旧制高等商業学校、高等工業学校等の『学校一覧』について、所蔵する各大学にて資料収集調査をおこなう予定であった。しかし、2020年度はこの調査についてはまったくおこなえていない。唯一神戸高等商業学校については、研究分担者の所属大学に『学校一覧』が所蔵されているため可能であったが、それ以外の学校についてはほぼおこなえていない。第二に、研究会の開催が難しかった。オンラインでの研究会は複数回おこなってきたが、データ化やデータ分析などについての詳細な研究打ち合わせについては難しく、十分な情報共有、研究の検討が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍がある程度収まらない限り資料収集調査ができない。調査ができないとデータ拡充、データ分析ができず、研究を遂行していくことが難しいため、メンバー間で資料調査が制限されている中での可能な方策について検討していく。現在データ化されている神戸高等商業学校のデータについては、さらに変数を拡充し、多角的な分析をおこなっていく。また研究会の開催については引き続きオンライン中心に議論をおこなっていくが、オンライン会議だけでなく、チャットツールなども利用することで情報交換をおこなっていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、高等専門学校の『学校一覧』、その他の資料収集を目的とした文献調査がまったくできなかった。また研究会も直接会っておこなうことができなかった。そのため、用意していた旅費を次年度にまわすことになった。未使用額は、コロナ禍の状況を見据えつつ、資料収集調査旅費、対面による研究会開催、さらに学会報告旅費に充てる。
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Research Products
(2 results)