2020 Fiscal Year Research-status Report
調査票調査におけるセンシティブな質問への回答に対する調査員の影響の計量的研究
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20K02110
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 大祐 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (40374871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 忠彦 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (10247257)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 調査員効果 / 社会的望ましさバイアス / モード効果 / 日本人の国民性調査 / センシティブな質問 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はほぼ当初の計画通りの9月に,全国の20歳以上69歳以下の日本国籍を有する男女を母集団とする「コロナ禍における人びとの暮らしと意識についてのウェブ・アンケート調査」を実施することができた。収集した調査データについては,2018年に実施された第14次「日本人の国民性調査」の結果が利用できるようになり次第,比較検討を行う予定だが,暫定的に2013年実施の第13次調査とのモード比較を行うなかでは,ジェンダー関連項目や階層関連項目において,調査員が存在することによる偏りとして解釈することに整合的な結果を得ている。また,センシティブな内容の質問の測定方法について研究として,10月の第93回日本社会学会大会において「複合モード・ウェブ調査による方法論的比較(4):ウェブ調査におけるセンシティブな内容の質問の方法の検討」という題目で報告を行っている。この報告ではwebモードにおいてセンシティブな内容の質問を行うことの可能性をitem count techniqueを用い論じている。そして,精神的健康というセンシティブな項目について,過去の不安定就労経験との関連を論じた依頼論文「不安定就労期間が抑うつ傾向に及ぼす影響の男女差についての実証的検討:「離職理由」を考慮した分析から」を『同志社商学』に発表している。また分担執筆をしている社会調査法のテキストの改訂版を刊行するに際して,最新の研究成果を取り入れて担当章の改稿を行っている(なお,改訂版の刊行は2021年4月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のなかで,調査実施が危ぶまれたが,ビデオ会議で研究分担者との打ち合わせを重ね,2020年度上半期のうちに全国の20歳以上69歳以下の日本国籍を有する男女を母集団とする,「コロナ禍における人びとの暮らしと意識についてのウェブ・アンケート調査」(サンプルサイズ1,200)を実施することができた。下半期は,当該調査データの分析作業を進める一方,センシティブな質問の調査法についての研究成果として第93回日本社会学会大会において報告を行い,依頼論文も1本発表するなど,研究成果も出すことができているため,おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度上半期は、単一の調査の中で、個別面接法と留置法という他記式と自記式のモードを併用し、個別面接法の調査員属性を個票データと紐付けて利用できるデータの2次分析を行うという本研究課題の目的を達成するために、統計数理研究所が2012年に実施した「国民性に関する意識動向2012年度調査」の2次分析を行う。この調査では面接と留置の調査モードが併用され、調査員情報についても利用することの内諾を得ている。この調査で詳しく聞かれている政治意識や投票行動について、回答内容への調査員の影響を分析する。2021年度下半期は分析結果を積極的に発表し、学術論文の投稿および学術書の出版を視野に研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のなかで,研究分担者との打ち合わせ,または学会発表や意見交換のための出張旅費への支出がほぼ無くなったことが最大の理由となる。今後の使用計画についても,covid-19の国内はもちろん海外における感染状況次第となるため明確に示すことは難しいが,もし依然状況が収束しない場合は,追加調査の可能性についても検討をしていく。
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Research Products
(4 results)