2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K02114
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松木 洋人 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (70434339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 家族社会学 / 不倫 / 浮気 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、第1に、本研究課題に関する先行研究を検討を行った。 そのうえで、第2に、基本的な資料の収集に着手した。具体的には、大宅壮一文庫雑誌記事索引検索Web版を用いて、「浮気」の「告白、手記」という項目に該当する2010年代の雑誌記事を収集した。これは2021年度の主要な分析対象となりうる資料である。 第3に、本研究課題に関わる査読付きの研究ノートを学会誌に発表した(松木洋人「自分の婚外性愛についての相談/回答はどのように成し遂げられるのか:新聞紙上の人生相談記事を題材とした探索的考察」『家族研究年報』45:79 - 96)。この研究ノートは新聞記事における人生相談のうち、配偶者がいるにもかかわらずそれ以外の者と性愛を伴う関係をもっているという相談やそれに対する回答がどのようになされるのかを検討したものであり、本研究課題にとって重要な成果であるが、その具体的な知見は次の通りである。相談者は自身を非難したり、自らの感情やふるまいを自由意志を欠くものとして記述したり、「正しさ」を欠いた結婚生活に替えて、より「正しい」結婚生活を始めることができないという「道徳的な悩み」を語ったりすることで、悩みの相談を相談とそれに応じた助言に値するものとして編成する。回答においては、ほとんどの場合、婚外での関係の解消と新しい結婚生活のいずれが是とされるかは二者択一で、婚外での関係と現在の結婚生活の「両立」を認める回答は数のうえで例外的であるのみならず、回答者によって例外として構成されたりもする。これらの意味で、結婚と性愛を結びつける規範からの逸脱である自分の婚外での性愛についての相談とその回答は、その理解可能性を当の規範によって支えられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、本研究課題において決定的な位置を占める新たに収集した資料を分析するという作業に時間を割くことができなかった。また、収集した資料も2010年代の雑誌記事に限られており、より広い範囲の資料を収集することが必要となる。このような意味で、順調に進行しているとは言えないと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においては、すでに収集した2010年代における雑誌記事の分析に注力するとともに、異なる時期の雑誌記事、さらには書籍や新聞記事などに範囲を広げて資料を収集することによって、本研究課題の遂行を目指す。
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Research Products
(1 results)