2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K02114
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
松木 洋人 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (70434339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結婚 / 恋愛 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる2022年度においては、2021年度までの研究期間に雑誌記事を中心とした文書資料の収集に一定のめどがついたことをふまえて、研究対象をやや広げて、インタビュー調査による語りの収集を行うことととした。具体的には、インターネットモニター調査を実施することによって、配偶者をもつ女性13名から結婚や恋愛についての考えかたを聞き取り、結婚や恋愛をめぐる規範について検討するためのデータとした。このデータをこれまでに収集した資料に加えることで、現代日本社会における配偶者をもつ者の結婚や恋愛をめぐる規範について多角的な視点から検討することが可能なデータセットを構築することができたと考える。その他、今年度には、アメリカの文化人類学者のアリソン・アレクシーによる『離婚の文化人類学:現代日本における〈親密な〉別れ方』(濱野健訳)の書評を執筆することで、現代日本の結婚生活を理解するうえでの重要な視点を得ることができた。 研究期間全体を通じて実施した研究の主たる研究成果として挙げられるのは、学会誌に投稿して掲載された「自分の婚外性愛についての相談/回答はどのように成し遂げられるのか:新聞紙上の人生相談記事を題材とした探索的考察 」(『家族研究年報』第45号)である。この論文は婚外性愛をめぐる悩みについて新聞紙上で相談/回答する者が、その相談/回答をどのような規範的論理を通じて組み立てているかを明らかにすることで、人々にとってのロマンティック・ラブ・イデオロギーの意味、ひいては近代家族の意味にアプローチしたもので、本研究が設定した研究課題に正面から取り組んだ論考である。
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