2021 Fiscal Year Research-status Report
A sociological study of the history of love in China and Japan
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20K02123
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
川田 耕 京都先端科学大学, 経済経営学部, 教授 (50298676)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 愛情の歴史 / 歴史社会学 / 文化社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績は3点ある。 1点目は、2021年度にシンポジウムで発表した 「七夕から探る感情の歴史:その学際的研究の試み」である。この発表では、かねてこの事業において研究してきた七夕関連の研究成果の一部を用いて、七夕の歴史を概観するとともに、それへの学際的なアプローチの有効性について検討したものである。 2点目は、webサイト「七夕あれこれ」における情報の公開である。これは日本列島の各所における七夕祭の歴史・現状についての調査の成果を、2020年度に引き続き、2021年度も随時更新したものである。2021年度は新たに50項目の記事を執筆し公開した。累計77項目である。これらは論文というかたちはとっていないが、これまで明らかにされてこなかった各地の七夕の習俗とその変遷について記しており、今後の研究の基礎資料にもなると思われる。 3点目は、2022年5月に学会で発表することが決まっている「愛情の歴史のための試論:〈玄宗貴妃譚〉の分析」である。これは、七夕研究と並んで本事業の柱の一つである「長恨歌」系統の研究を2021年度にすすめた成果の一部となる。 なお、2021年度の研究業績の数は少ないが、まだ公開はされていない部分も含めて、研究開始当初(2020年度の「交付申請書」中の「補助事業期間中の研究実施計画」に記したとおりに研究をすすめることができた。まず同文書にいう「1」の「長恨歌」系統の演劇と伝承の研究については、この研究を2021年度に集中的に行い、2022年夏に投稿予定の論文「〈玄宗楊貴妃譚〉にみる愛情の歴史」(仮題)の執筆をすすめた。また、同文書中の「2」の「七夕」系統の研究についても継続的に研究をすすめ、論文「近代日本の七夕祭:国民の夢の道のり」(仮題)の執筆をすすめ、2022年度の夏までには投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、事業開始当初の「交付申請書」中の「補助事業期間中の研究実施計画」に記した計画通りに進行しており、その成果は2022年度にも複数の論文、研究発表で公にする予定である。 ただし、科研費申請時(2019年秋)には予定していた中国語圏での文献調査・フィールドワークについては、事業開始当初に「交付申請書」(2020年4月)に危惧していた通り、新型コロナウイルスの感染拡大による中国語圏への入国制限により、2021年度も行うことができなかった。 そのため「おおむね」順調に進展していると自己評価した次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も研究開始時の「交付申請書」に記した通りの研究を中心に推進するとともに(下記A・C・D)、七夕の研究についてはさらに追加的に研究を進める(B)。 具体的には、 以下の通りである。 A:中国において異性愛的な愛情の物語の母型の一つとなってきた「長恨歌」系統ならびに「才子佳人型」の演劇と伝承について、日本との比較の視点も交えな がら、調査と分析を行い、学会で発表し(2022年5月)、論文の執筆を終了し公刊する(2022年夏頃に投稿予定である)。 B:七夕についての研究をより包括的な視点から再考するとともに、近現代日本においてどのような社会的なダイナミクスのなかで七夕をめぐる物語と祭の変遷についての調査を終了させ、論文として公刊する(2022年度夏までにに投稿する)。 C:以上の具体的な研究ならびに本研究以前の成果を取りまとめて、より包括的な中国と日本における愛情の比較歴史社会学をとりまとめる(2022年度に研究を進め、2022年度ないしその後1年ほどで研究成果を公表)。 D:中国語圏への渡航が可能になれば、現地で文献等の調査を2022年度中に行う(十分に調査ができない状況になれば、事業の延長の申請を検討する)。
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Causes of Carryover |
2021年度は、2020年度に引き続き、中国語圏での文献等の調査ができる可能性を探っていたが、新型コロナウィルスの感染拡大による入境制限のために結局渡航できずに終わった。そのため「旅費」ならびに渡航先で使用予定であった「物品費」などを使用する必要がなくなった。2022年度以降、可能になり次第、中国語圏への渡航を予定しており、そのために予算を使用する計画である。
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Research Products
(3 results)