2022 Fiscal Year Research-status Report
韓国と台湾で暮らす日本人結婚移住女性に関する歴史社会学的研究
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20K02126
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
武田 里子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30570410)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結婚移住 / 国際結婚家族 / 国籍選択制度 / 国籍法11条1項 / 移民政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東アジア(日本・韓国・台湾)における国際結婚に占める主要な存在でありながら先行研究が看過してきた日本人女性とその子どもたちの聞き取り調査を通じ、生活圏としての東アジアの可能性と課題を明らかにすることを目的にしている。
コロナ禍による海外調査ができずにいるが、zoom学習会により台湾と韓国で暮らす日本人結婚移住者の直接対話が可能になったことは予期せぬ収穫であった。その中で台湾と韓国における国籍法に関する情報格差などによって「日系ハーフ」日本留学の動機づけが大きく異なることが確認できた。また、この間、ヨーロッパとアメリカに居住する在外邦人とのネットワーク化が大きく進んだ。2023年2月に刊行した科研報告書『国籍法をめぐる当事者による市民的不服従』には当事者10名のエッセイと2つの在外邦人を対象に実施した国籍法に関するウェブアンケート調査結果(2019年・2021年)を収録することができた。報告書は複数国籍学習会ホームページ(https://sites.google.com/view/satokot/)で公開している。これまでの調査研究の成果は、2022年11月日本社会学会大会で報告した(「『日本人/外国人』の二分法と在外邦人の国籍問題」)。
本年度開催学習会のテーマ:①22/5/15英国居住家族(父米国・母日本)の父の英国籍取得に伴い子にも登録による英国籍取得が認められ、予期せず日本国籍を喪失した問題点の論点整理、②22/9/18国籍法11条1項の違憲性を問う東京訴訟と福岡訴訟の論点整理、③23/1/29結婚移住者支援を含む移民政策の日韓比較。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
韓国と台湾での現地調査ができていないこと、コロナ禍のため計画よりもインタビューの実施が遅れていることが「やや遅れている」理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
国際結婚家族の子のほとんどは父母の国籍を継承し複数国籍であるが、国籍選択制度により20歳までにいずれかの国籍を選択することが求められている。選択率は1割程度であり、放置主義がとられているものの、当事者は自身の状況を「違法状態」であると否定的に捉えている。国籍法制と実態との乖離状況をより具体的に明らかにするため、①国際結婚家族の子ども世代の聞き取りと、特に②「日露ハーフ」の実態把握に努める。「日露ハーフ」については、ロシア大使館に出生届を提出したことにより国籍法11条1項が適用され日本国籍を剥奪されていることが分かっているが、ウェブ調査によりその実態を明らかにし、帰化によらない国籍回復についての提言案をまとめたい。これまでの調査の中間報告として移民政策学会で報告するほか、当事者のエッセイを含めた2冊目の報告書を刊行する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、コロナ禍により海外調査ができなかったことと、研究会等がzooを開催であったため支出が抑えられたためである。2023年度は海外調査(韓国と台湾)で約60万円、謝金(10万円)、報告書印刷・郵送料(20万円)ほかにより予算執行が計画通りできる予定である。
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Research Products
(3 results)