2022 Fiscal Year Research-status Report
Sustainability of the continental welfare states: A comparison between Geamany and the Netherlands
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20K02139
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
魚住 明代 城西国際大学, 国際人文学部, 教授 (90228354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 真理子 城西国際大学, 国際人文学部, 客員特定研究員 (50289948)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ドイツ / オランダ / キリスト教民主主義 / 社会福祉行政 / 大陸型福祉国家 / 家族主義 / 民間非営利団体 / 公私関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「大陸型」として分類されている福祉国家のなかで、ドイツとオランダのそれぞれの福祉国家の特徴を明らかにすることを目的としている。特に注目するのは、大陸型に共通するといわれる国と民間非営利団体の関係であり、近代以降に大陸で発展を見た民間非営利団体と国家の関係が、第二次世界大戦後に福祉国家が整備される過程で社会保障制度の公私関係にどのように引き継がれたのか、そしてそれらが如何なる変転を経て現代の福祉国家のシステムに引き継がれてきているのか―という問いを立て研究を進めている。 当初の研究計画では、令和4年度は、ドイツとオランダにおいてヒヤリング調査を行い、そこから導き出される近年の福祉国家改革の課題を多角的に捉えて、その特徴を詳らかにする予定であった。しかし、本年度も新型コロナウイルスの感染が継続した状況に加えて、ロシアのウクライナ侵攻により、欧州への渡航がさらに困難となったため、ひとまず渡航を延期して、継続的にオンライン研究会を開催して、文献研究に専念した。 具体的には、ドイツとオランダの最近の福祉行政の地方分権化に焦点を当て、これまでの伝統的な公私関係の変化や、新たな公私の役割分担について検討を加えた。つまり、もともと「民間非営利団体」が中心となって発展をみた両国における「民営化」とは、どのような意味を持つものなのか、また最近の「民営化」が、単に緊縮財政の下で行われる「民(間)営(利)化」とどのように異なるのか、という点などについて、研究会で議論を行い、現地で実施する民間非営利団体や研究者へのヒヤリング調査の枠組みについて検討を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度の研究活動は、本来予定をしていた欧州での現地調査が実施できなかったという点で、現時点での進捗状況は「やや遅れている」と言わざるを得ない。 とはいえ、今年度は文献研究に専念できたことで、研究報告書作成に向けて一定の成果を挙げることが出来た。具体的には、①歴史研究の成果を踏まえて、ドイツとオランダ両国の福祉国家構築の歴史を見渡して両国における法・政策史の年表を作成し、相違点を見出した。②福祉において両国ともに宗教的基盤(教会の地域における役割)が強いことを再確認できた。③ドイツ・オランダで開催されたオンラインでの研究会を通じて、最新の研究動向や論文についての情報を共有した。 こうした文献研究に加えて、オンライン研究会での意見交換に時間をかけられたことは、大変有意義であった。以上を踏まえて、次年度は、現地ヒヤリング調査の遂行をめざし、それが可能となれば、これまでの文献研究の成果を実証面からも分析することとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が科研費に採択されたのとほぼ同時期に、新型コロナウイルス感染症拡大の危機に直面するという不測の事態に直面したため、研究会は初年度から定期的にオンラインによって開催することになった。 令和5年度は、当初の予定では研究期間の最終年度になるが、引き続き国内では、文献研究を元にした研究会を開催して議論を深めると共に、欧州での調査が可能であれば、ドイツとオランダを訪問してヒヤリング調査を実施する予定である。最終年度に研究が順調に進めば、最終報告書の作成や学会報告など、研究成果の発表を行いたいと考えている。 本研究期間が終了した後も、ドイツとオランダの比較研究を継続して行う予定である。本研究により、ドイツとオランダでは、キリスト教にもとづく民間非営利組織の存在が社会に深く浸透してきた伝統があり、生活に関わるさまざまな分野でイニシアティヴをとってきたことが明らかにされた。この点についてさらに研究を発展させる機会が得られれば、教育政策や移民政策などにも視野を広げた研究に繋げていきたいと考えている。それは、社会的支援策の新たな枠組みの発想につながると思われるからである。
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Causes of Carryover |
次年度使用分が生じた主な理由は、新型コロナウイルスの感染状況とロシアのウクライナ侵攻により、欧州への渡航が不安定になり、ドイツとオランダにおいて予定していた現地調査を実施できなかったことによる。令和5年度に現地調査が可能であれば、調査に必要な費用(渡航費、現地での国内移動費、現地でのみ購入可能な文献や資料の費用、謝礼、および緊急時に入用な費用等)を十分に見積もり確保しておく必要がある。ユーロとの為替レートも大きく変化したため、科研費研究予算が不足しないように確保することも念頭において、次年度に繰り越すこととした。 令和5年度に、現地調査を実施できれば、調査成果のまとめと入力、データ処理等の作業に関して人件費の支出を行い、調査報告書作成に関わる費用(コピー費、印刷費等)も支出する。加えて調査に必要な文具等の支出も行う予定である。
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Research Products
(4 results)