2021 Fiscal Year Research-status Report
Social Movement of Undocumented Migrant Women in France
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20K02140
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
稲葉 奈々子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40302335)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 移民 / 社会運動 / ジェンダー / フランス / 非正規滞在 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初、2021年度はフランスでフィールドワークを実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で渡航ができなかった。そのため非正規滞在移民にかんする文献を網羅的に集め、読み進めた。 欧米の場合は、非正規滞在移民自身が担い手となる社会運動が展開しており、2015年のヨーロッパでの「難民危機」の発生以降、非正規滞在移民が社会問題化し、多くの研究がなされている。日本の場合は当事者が担い手となる運動は、収容所内のハンガーストライキを除いて市民社会を舞台とした運動は発生していないため、研究も少ないが、欧米の場合は市民社会を舞台とした運動が活性化している。 また、フランスの非正規滞在移民との比較の観点から、日本における非正規滞在移民女性に対するインタビュー調査を行った。非正規滞在者のなかでも、仮放免許可を受けて地域社会で生活する人を対象としてインタビューを行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で入管施設に収容されていた外国人が3000人近く仮放免になっているため、地域社会で生活しながらも、いかなる権利も認められない「剥き出しの生」を経験させられる外国人が2020年以降急増した。 非正規滞在移民について、女性の場合、ジェンダーの観点からの分析が必要となる。実際、女性の場合は、DVや強制結婚など女性に固有の理由で移民を選ぶ人が少なからず存在していることが明らかになった。 女性は、賃労働に従事する場合は家事労働やビル清掃などの仕事をしてることが多いが、仮放免になって以降は居候先で家事労働を引き受けるなどして生活をしている。しかし住む場所と引き換えに性暴力を受けることもあるなど、女性に特有の問題が多く発生しており、ジェンダーの観点からの分析が必要になることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大対策の影響でフランスに渡航することができなかったため、本来はフィールドワークで明らかにすべき課題に着手することができなかった。しかし文献調査や論文執筆は予定以上に進展したため、全体としてはやや遅れている程度となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染対策による渡航制限が緩んでいるため、2022年度はフランスでフィールドワークを実施し、研究上必要なデータを可能な限り収集する。 世界的に非正規滞在移民が増えたこともあり、研究が急増しているため、文献は引き続き収集しレビューを行う。
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Causes of Carryover |
当初、フィールドワークのために予算を使用する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でフランスに渡航することができなかったため、次年度実施することにした。
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Research Products
(5 results)