2020 Fiscal Year Research-status Report
Estimating the costs of domestic violence in Japan
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20K02141
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
武石 智香子 中央大学, 商学部, 教授 (10338650)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DV / コスト推計 / ドメスティック・バイオレンス / 医療コスト / 人口寄与割合 / IPV |
Outline of Annual Research Achievements |
配偶者とパートナーを含むIPV,いわゆる「親密なパートナーからの暴力」と定義されるDV(ドメスティック・バイオレンス)について,その社会的コストのモデル策定を目指している。 医療コスト部分に関する概念モデルについては,モデルをほぼ構築することができた。モデル構築に当たって,DVに起因する医療ケアの経済負担を推計した先行研究の各種モデルを整理した。 先行研究としては,公表されている米国のCDC(疾病対策予防センター)とNIJ(国立司法省研究所)が合同で実施し公表している調査,英国の国家統計局から公表されている調査,オーストラリアのVicHealth(ヴィクトリア州健康増進基金)が公表している調査を参考にした。 それらで用いられた推計方法には,積み上げ方式,割合方式,統制後増分方式の,大きく3つのアプローチがある。 積み上げ方式は,利用単位のコストあるいは被害者単位のコストを総和する。割合方式は,主として相対リスクからPAF(人口寄与割合)を計算して,全体コストのDV分を割り出す方式である。統制後増分方式は,交絡因子を統計的に統制して,DVによるコスト純増分を推定する方式である。 上記の代表的な研究を3つのアプローチごとに,結果の数値や関連論文を参考にしながら推計の計算過程を再構築し,そこから得た計算モデルを数式およびそれに対応する表にまとめることでモデルの整理を行った。この整理は,DVの医療コスト推計に必要なデータに関する考察にもつながるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス禍により,予定していたが実施できなかった調査があったため。 都内の市町村等に赴き,市区町村調査を実施する予定であった。また,英国や関西地域での研究者ヒアリングも行う予定であった。しかし,新型コロナウィルス禍により国内外の移動が制限され,また協力を要請した民間団体と相談し,現場感覚として現状況では市町村へのヒアリングは不可能と判断した。そのため,2020年度においては,自治体調査をはじめとした,移動を伴う調査を断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス禍による海外への渡航制限に鑑み,海外の研究者へのヒアリングは,遠隔によるヒアリングの方向に方針を転換せざるを得ない可能性がある。 また,国内における新型コロナウィルス感染状況と,自治体レベルでの対応必要性の現況を考慮すると,市町村調査については,引き続き現場の意見を聞きながら,実施のタイミングを探っていく必要がある。 調査の実施方法を工夫しながら,引き続き当初の目的を達成する策を追求していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス禍により国内外のヒアリング調査を次年度以降に延期したため。
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