2022 Fiscal Year Research-status Report
Estimating the costs of domestic violence in Japan
Project/Area Number |
20K02141
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
武石 智香子 中央大学, 商学部, 教授 (10338650)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | DV / コスト推計 / ドメスティック・バイオレンス / 社会的コスト / IPV / 医療コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
DV被害者支援団体ネットワークとの連携により,講演会を実施した。具体的には,特定非営利活動法人デートDV防止全国ネットワークにより3月12日に開催された「デートDV防止スプリング・フォーラム2023」において,「DVの社会的コスト」という基調講演を行った。講演内容を簡単に要約すると次の通りである。 誰もが健康で尊厳が保てる社会にするために、どのような政策が求められるか。必要なのは証拠に基づく政策(EBPM),これは「市民全体が利するような費用対効果を証拠から検証して、民主的に政策を立てよう」という社会からの要請に基づいている。 社会的コスト推計の第一の目的は、その社会的コストが甚大であることを客観的に数値で表現することである。第二の目的は、得られた数字を比較、分析して、長期的に予防・介入・支援の効果把握に役立てていくことである。 社会的コストの主な推計方法には,厳密かつ正確な方法から順にボトムアップ方式,割合方式,統制後増分方式,イーサリアル方式の4つが存在する。同時点において日本で取得可能なデータを用いて可能なのはイーサリアル方式で,社会的コスト推計の第一の目的であるDVのコストが甚大であることを数値で表現するということについてはイーサリアル方式で十分である。しかし第二の目的である予防・介入・支援の効果把握には引き続きデータの整備が必要である。その点、2023年2月20に「男女間における暴力に関する調査」の調査票データがmiripoを通じて提供されたのは,第二の目的に照らすとさらなる整備が求められるものの,長期的に第二の目的に向かう第一歩として良い動向である。なお,同調査票データを利用した研究は2023年度から可能となりそうである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度末の本来研究エフォートを増やすことの出来る時期に、家族の事情が重なったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
利用を希望していた調査票データが、2022年度末に利用申請可能な状況になった。 調査票データの利用申請を行い、同データで可能な推計を行いたい。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍において、市町村めぐりや業務委託を取りやめ、委託を予定していた団体とのミーティングをオンラインにより執り行ったため。
研究エフォートを大きくできる貴重な期間に、家族の事情により出張予定が立てられなかったため。
|