2021 Fiscal Year Research-status Report
日本と台湾の油症事件における被害構造と救済制度構築過程の比較環境社会学的研究
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20K02144
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
堀田 恭子 立正大学, 文学部, 教授 (20325674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田 和子 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (90733551)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食品公害 / カネミ油症 / 厚労省健康実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度もコロナ禍のため、現地調査には行かずに、主に厚労省が2013年から開始したカネミ油症健康実態調査のデータ収集ならびに整理等含め、分析考察を実施した。本調査は認定されたカネミ油症患者を調査対象とし、主に身体的な状況、通院状況、食事・運動の状況、さらに油症に認定されると使える受療券の使用の有無等を聞いているものである。 厚労省は2008年に初めて大規模にカネミ油症患者への健康実態調査を行った。しかし、潜在患者としての未認定患者や年に一度の検診に参加できる未認定患者は調査対象とはなっていなかった。その後2012年に「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」が制定され、それに基づき、2013年以降2021年現在、油症患者に対する健康実態調査が毎年実施されてきた。しかしながら、調査対象者は2008年調査と同様に認定された油症患者のみである。 この調査の目的は、直接政策に結びつけるものではなく、あくまでも「カネミ油症に関する調査研究をさらに推進すること」である。そのため潜在的な未認定患者、また検診を受診している未認定患者もこの調査では調査対象とはなっていない。報告書に関しては、毎年概要と各項目の単純集計、さらに性別、年齢のクロス集計表がHP上に掲載されている。細かいデータ(数字)も限定的ではあるが提示されている。 本年は、2013年から2020年までの調査を、調査票における質問項目の変遷や、被害の実態の経年変化、身体的被害ならびに精神的な被害、油症受療券の使用の有無、相談希望、相談の有無、相談の内容等を概観した。調査項目は、身体的な項目に重きを置きながらも、生活被害的なことも聞いているため、それらの性別・年齢とクロスさせ、集計結果を出し、簡単な考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度もコロナ禍が改善せず、台湾での調査や日本での調査、特に病を持つ当事者へのヒアリング調査が進められなかった。そのため2次分析になるが、厚労省の認定患者を中心とした2013年からの健康実態調査の限定されたデータではあるが、経年変化的な分析・解釈等を中心に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、台湾ならびに日本での現地調査実施を視野にいれて、当事者や政策主体への調査項目等の洗い出し等を行う。その際、あらためて過去の調査データの整理、既存の量的調査の分析等も実施する。次年度は特に政策論・運動論・NPO論等の理論分析ならびに整理等も実施する。
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Causes of Carryover |
今年度も台湾および国内での調査がほぼ不可能となった。ただし2023年度に研究休暇が取得できる見込みにある。そのため2022年度つまり、次年度の後半に台湾に行き、調査研究の基盤を造るために、今年度の支出をおさえ、来年度と再来年度に備えることにした。来年度はコロナの状況を踏まえつつ、近距離における重要な主体等を設定し、ヒアリング調査を試みたい。
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Research Products
(1 results)
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[Book] 公害スタディーズ2021
Author(s)
宇田和子
Total Pages
6(pp.38-43)
Publisher
ころから株式会社
ISBN
978-4-907239-54-1