2023 Fiscal Year Research-status Report
地方社会の解体的危機に抗する<地域生活文化圏>の展開と課題
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20K02146
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
西村 雄郎 大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (50164588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋子 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 講師 (60627561)
小内 純子 札幌学院大学, 法学部, 教授 (80202000)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域生活文化圏 / 地域イデア / 社会的危機 / 十勝 / 大崎 / 綾部 / 日田 / 鯖江 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地方の社会解体的危機が進む中で、政府が地方社会再編を推進していることに対抗し、各地域が自然・歴史・文化の中で育まれた地域固有の生活原理である<地域イデア>を基底におき、地域住民が自律的、内発的に形成してきたサスティナブルな<地域生活文化圏>の特質を解明し、その成果に比較社会学的考察を行うことを通して「日本社会の新たなあり方」を構想することにある。 この課題を達成するため、本研究チームは2014-2016年度と2017-2019年度にわたり科学研究費基盤研究(B)を受け、十勝地域生活文化圏、大崎地域生活文化圏、綾部・鯖江地域生活文化圏、日田地域生活文化圏を研究対象として、これら地域の地域形成、地域自治、地域産業、地域活動の特質を明らかにする調査研究を重ね、その成果を研究報告書にまとめてきた。ここで明らかにしたことは、調査対象とした各地域生活文化圏が固有の歴史を積み重ねる中で、各地域が固有の<地域イデア>を形成し、それにみあった地域づくりを展開することで、地域住民が自律的、内発的にサスティナブルな<地域生活文化圏>形成をはかってきたことである。 しかし、コロナ禍によって共同研究会や補充調査を十分に実施することができず、これまでの研究成果を総括し、比較社会学的考察を加えることで「日本社会の新たなあり方」を構想するという検討課題が残った。 本科研ではこれらの課題を達成するため、補充調査を行うとともに、研究内容の総括を図り、これをまとめた刊行物を発行するための研究活動を企画したが、コロナ禍のなかでこれらの活動は停滞した。しかし、2022年からこれらの研究活動を実施できる環境が整い、2023年度はこれらの研究成果を発表するために、『地方社会の危機に抗する<地域生活文化圏>の形成と展開』(仮題)を編集する作業を行い、これを公刊するための準備をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本科研は、前2期における科研で蓄積してきた研究成果に比較社会学的考察を加え、「日本社会の新たなあり方」を構想するために、補充調査を行うとともに、共同研究会を開催して研究成果を総括する研究として企画したが、コロナ禍のため研究活動は停滞した。 しかし、2022年からこれらの研究活動を実施できる社会環境が整い、2023年度はこれらの研究成果をとりまとめ、発表するために、研究成果報告書「地方社会の危機に抗する<地域生活文化圏>の形成と展開」(仮題)を共同研究会で構想し、論文を執筆し、編集する作業を行った。 本書は、序章で研究課題と研究対象地域の概況を示したうえで(2章構成)、Ⅰ部では十勝・帯広地域生活文化圏(10章)、Ⅱ部では大崎地域生活文化圏(8章)、Ⅲ部では綾部・鯖江地域生活文化圏(6章)、Ⅳ部では日田地域文化圏(7章)について、各地域生活文化圏ごとに設定した地域課題に応じた論稿を集成し、これらの研究成果を終章でとりまとめ「日本社会の新たなあり方」を示すという構成をとっている。 2023年度内にすべての論稿がそろい、2024年度公刊にむけて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、これまでの研究成果を「地方社会の危機に抗する<地域生活文化圏>の形成と展開」としてまとめた。2024年度はこれを公刊するための準備をすすめ、研究成果を調査対象地域住民、関連学会員、社会に示すことによって、社会的貢献を果たす。
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Causes of Carryover |
本科研は開始早々コロナ禍の影響をうけ、研究活動の停滞が続いた。2023年度に入ってこれらの活動を行う研究環境が整い、これまでの研究成果を「地方社会の危機に抗する<地域生活文化圏>の形成と展開」(仮題)として取りまとめることができた。しかし、これの成果を公刊するための十分な準備を行えず、2024年度は本研究の公刊するための研究活動を行う。
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