2022 Fiscal Year Research-status Report
障がいを開示して就業した高学歴発達障がい者の職場定着に関する研究
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20K02151
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
福井 信佳 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (50727708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大歳 太郎 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (40336483)
橋本 有理子 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (70368413)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 障害の開示 / 発達障がい者 / 就労支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までに実施した発達障がい者を対象とした、職場定着に悪影響を及ぼす要因を探る調査では、「コミュニケーションの問題」「人間関係の問題」「(自分の仕事に合っていない)マッチングの問題」に加え、高学歴の場合には「周囲の期待度が高い問題」も含まれているという結果であった。これらの結果に対して、2022年度6月~8月にかけて、職業リハビリテーションセンター職員9名についてインタビューガイドを用いてインタビュー調査を実施した。就労支援現場の経験年数は、10年未満が4名、10年以上が5名であった。所持資格(複数回答)については、社会福祉士が3名、精神保健福祉士が3名、特別支援学校教諭が1名、 介護福祉士が1名、作業療法士が1名、公認心理師が1名、資格なしが2名であった。 高学歴者について課題の1つであった「周囲の期待が高い」という課題に対しては、「大学卒業時に頑張って資格を取得したが、職場では使いこなせていないこともある」、「人事の期待度と現場の期待度に違いがあり、ミスマッチを起こす可能性がある」、「障害に理解のある上司の転勤や異動のがあると、仮に本人が障害を開示していたとしても周囲の環境が変わり、本人が自分のペースを維持するのが難しくなる」という事実があった。 周囲とのコミュニケーションや人間関係の困難さ、自らの能力と仕事とのミスマッチ、高学歴がゆえの周囲からの期待とそれに伴うペース配分の乱れ、障害開示をしていても肩身の狭い思いの実感などを経験すると、発達障がい者は自らに自信が持てなくなり、結果、賃金・昇進といったキャリアの段階にまで意識が及ばないこともあることも考えられた。 自らの能力を発揮できる仕事との出会いなど、自らの持つ力が発揮できることを実感すると、高学歴者を含め発達障がい者の職場への帰属意識や就業定着につながりやすいものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度まではコロナ禍の影響によりインタビュー調査が困難であったが、2022年度はマスクの装着やインタビュー時間の短縮、換気等感染症に対する対策を講じることによって研究を再開できている。
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Strategy for Future Research Activity |
高学歴発達障がい者の雇用を推進している一般企業の事業主及び障がい者雇用担当者、および高学歴発達障がい者の就労支援の現場で働いている職業訓練指導員および就労移行支援事業所及びNPO法人大阪障害者雇用支援ネットワークにおいて高学歴発達障がい者の就労支援を行っている職業訓練指導員へのインタビューが終了した。 今後、高学歴発達障がい者の職場定着を構成する要素を抽出し分析する.職場定着向上に関わる企業努力や工夫点,仕事習得等に関わる環境調整や他の従業員等との人間関係形成やコミュニケーションの工夫等の実践内容や遂行上の課題について明らかにするとともに支援という相互作用的実践を通して雇用主・障がい者雇用担当者等に醸成される高学歴発達障がい者本人に対する見方や心理的変容について分析を試みる.
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Causes of Carryover |
理由 インタビューの実施が遅れていたため分析に進んでいなかった。 使用計画 分析ソフトを購入後データ解析を行う。
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