2020 Fiscal Year Research-status Report
郊外団地における外国人住民の社会統合についての研究
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20K02158
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (80363795)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際社会学 / 在日外国人 / 統合 / 郊外団地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象であるX団地は神奈川県内最大の公営住宅もあることから、1980年代からインドシナ難民受け入れを契機として、中国残留孤児の帰国者や南米日系人などの多くの外国籍住民が集住しており、団地内の外国人入居率は2割を超えている。こうした背景から、多文化共生」政策や取り組みにおいて「先進的」と捉えられてきた行政や学校が、以下のとおり複数関与する地域でもある。①国家(移民・外国人政策,福祉政策としての公営住宅)②地方自治体 ③団地の自治会 ④学校。他方、高齢化する日本人住民と地域の衰退を背景に、外国人と福祉対象者が集中する「スティグマ化」が進んだ地域との指摘もある(森2006)。本研究ではまず外国人住民に対する受け入れの論理をめぐる温度差や矛盾を明らかにした上で、外国人住民の編入状況の分析を通して、移民の社会統合の諸条件を導き出すことを目的としている。 移民の編入が経済的・就労的要因のみによって決定されるという従来の仮説に対し、子どもの教育や、年齢が高い人ほど定住志向が見られるなど、着目点の修正を試みた。とりわけこれまで収集してきたデータが長年日本に住み団地にも長く住む人たちが多かったため、就労以外の移住者の「編入」の規定要因およびその様式、そして定住意識については日本人住民のそれと近づく傾向にあることも明らかになった。今後この地域で起こりうることとしては、中国残留孤児の帰国者のほかインドシナ難民や南米出身者のなかでも高齢化が進み、かれらの子どもが独立した後も夫婦であるいは一人で団地にとどまる外国人住民の増加が予想される。また、外国人住民の長期入居にともない、高齢化や独居化など、X団地で現在深刻な問題となっている日本人住民の高齢化の問題を時間的に後追いする現象が表れることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、本研究に関連する先行研究の整理およびこれまでのデータを用いた分析を中心に研究を進めた。何より、新型コロナウイルス感染症の影響により、本研究対象地域への訪問やフィールドワーク自体が非常に難しくなってしまったことが、進捗状況がやや遅れてしまう原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
外国人住民の地域社会における社会統合の比較研究として、郊外団地において自治会や外国人住民の生活等の支援にあたる団体の協力を得て、引き続き、「横浜市立大学の活動基準」で定められている感染拡大防止措置を徹底したうえで、インタビューへの協力者を募り、同意した者に対して20名程度を対象に被調査者の自宅周辺にて実施する。その内容は、個人のライフストーリーや生活世界など詳細な質問を行う。 移住者による送り出し社会とのトランスナショナル・ネットワークや拡大コミュニティの形成については、移民の送り出しに関わるビジネスや親族ネットワーク、そして日本からの送金、親族の扶養など家族や世帯レベルでのネットワークなどを明らかにする必要がある。当事者たちの心的側面においてはトランスナショナルな要因がどのようにかれらの生活世界に影響を及ぼすのかについても、外国人住民に対してインタビューを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、本研究対象地域への訪問やフィールドワーク自体が非常に難しくなってしまった。本地域は高齢化が進んでおり、自治会関係者も後期高齢者が多いため、予定していた研究協力者の協力を得ることが困難となってしまった。これらの対象者は代替不能な研究協力者であり、かれらの協力なしには本研究が進まないためインタビュー実施が当初の予定より少なくなってしまい、次年度使用額が生じた。2021年度については、「横浜市立大学の活動基準」で定められている感染拡大防止措置を徹底したうえで、インタビューへの協力者を募り、同意した者に対して20名程度を対象に被調査者の自宅周辺にて実施する予定である。
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Research Products
(2 results)