2021 Fiscal Year Research-status Report
郊外団地における外国人住民の社会統合についての研究
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20K02158
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (80363795)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際社会学 / 在日外国人 / 統合 / 郊外団地 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、神奈川県の外国人集住地域において外国人支援に携わる5団体に対する半構造化インタビューにもとづき、コロナ禍の外国人住民の生活状況を明らかにし、とりわけの移動/非移動性(immobility)という視点から、日本人と外国人住民の共助の課題と変容について考察した。先行研究にもとづき設定した3つのリサーチ・クエスチョンは以下の通りである。(1)コロナ禍は外国人住民たちの就労や生活に、どのような影響を及ぼしたのか。(2) 外国人住民の非移動性は、共助にいかなる変容をもたらしたか。(3)対面を超えたデジタル上の新しい共助の「場」や「空間」が形成されているのか。調査の結果、対象者の就労面においてはコロナ禍の経済的影響をより受けやすい傾向にあるが、生活全般の移動/非移動性を決定するのは日本のみならず母国の行動規範に準拠していることがわかった。共助については、コロナ前からの関係構築に負うところも大きいが、共通の危機による連帯感の要因も大きく、部分的ではあるが日本人と外国人、同国人どうし、いずれも共助が促されていた。オンラインを通じた共助は、現時点では両者のつながりに対する価値が逆転するほどの変容が起きているとは言い難く、むしろコロナ禍で促進されたデジタル空間から取り残されがちな人々との格差が示唆された。外国人住民たちの移動/非移動性に着目することで、災害時の共助の特性や限界についても理解を深めることが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響もあったものの、緊急事態宣言が解除されたあとに、本研究対象地域への訪問やフィールドワークを実施することができた。オンラインでのインタビューも実施でき、進捗状況はおおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
郊外団地において自治会や外国人住民の生活等の支援にあたる団体の協力を得て、引き続き、「横浜市立大学の活動基準」で定められている感染拡大防止措置を徹底したうえで、インタビューへの協力者を募り、以前インタビューした方への再調査も含め、20名程度を対象に被調査者の自宅周辺にて実施する。その内容は、個人のライフストーリーや生活世界など詳細な質問を行う。また、コロナ禍における自治会の多文化共生事業の状況や、外国人住民が多い高齢者福祉施設、病院などへの調査も行う予定である。コロナ禍で信仰活動が活発になっているベトナム、カンボジア、ラオス系寺院、南米系教会への宗教機関への調査も計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、予定していた研究協力者の協力を得ることが困難となってしまった。これらの対象者は代替不能な研究協力者であり、かれらの協力なしには本研究が進まないためインタビュー実施が当初の予定より少なくなってしまい、次年度使用額が生じた。
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