2020 Fiscal Year Research-status Report
更生保護への多様な主体の参加を可能にする理論モデルの構築に向けた実証研究
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20K02170
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Research Institution | Hokuriku Gakuin University |
Principal Investigator |
竹中 祐二 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 准教授 (40631578)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 更生保護 / ボランティア / 刑事政策 / 社会的包摂 / 離脱 / 立ち直り / 再犯防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 更生保護制度では伝統的に民間ボランティアの活躍が期待されてきたし、また今ではより一層の市民参加が目指されている。ただし、例えば保護司のなり手が少ないことが指摘されているように、社会全体で見たときには一部の人々の善意によってのみ更生保護が担われているという活動の限界は指摘されている。したがって、賛否入り混じる中で、私たちが何を選び取り、誰が、どの立場で、何を行うべきかを絶えず再検討することが、今改めて求められるものと考える。このことから、包摂的な社会の構想を目指し、上記の民主的な議論を成り立たせる基盤を築き上げることを目的に、「更生保護への多様な主体の参加を可能にする理論モデル」を構築することを、本研究の目的と位置付けている。
【2020年度の研究実績】 1年目である2020年度は、先行研究レビューを通した分析モデル仮説の構築を計画していた。この計画に沿って、文献渉猟と分析を重点的に行った。その成果の一部を基にして、日本更生保護学会第9回大会のセッションにて、「『立ち直り』の対象としての『非行少年』とは」というタイトルでの報告を行った。同報告では、臨床現場において、「プロ」であれ「アマ」であれ、また「更生」として捉える立場であれ「支援」として捉える立場であれ、非行少年を対象として「客体化」することの危険性を無視してはならないことについて言及した。また、本研究では、犯罪者処遇をめぐる社会的包摂のあり方や、特に「立ち直り」等の概念が意味するものの捉え直しを目指している。前者を検討するために、地方再犯防止推進計画に対する質的内容分析を行う研究プロジェクトに、後者を検討するために、“desitance”概念を捉え直すためのメタ的分析を行う研究プロジェクトにそれぞれ参加し、分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目である2020年度の研究成果である、先行研究レビューを通して構築された分析モデルについては、当初、犯罪・逸脱関連の社会学系学会(日本犯罪社会学会、日本社会病理学会)、司法福祉系の学会(日本社会福祉学会、日本司法福祉学会)、日本社会学会、およびヨーロッパ犯罪学会へ参加・報告し、それぞれの機関誌にて論文化することを計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、学会開催時期や方式の変更等が余儀なくされたことから、学会報告の機会それ自体を十分に得ることができなかった。しかしながら、これら研究成果を論文化する目途は立っており、2021年度の前半はその作業に努める予定である。また、上記影響のポジティブな側面として、オンラインによる研究者間の交流活動を通して、2つの新たなプロジェクトに参加する機会を得た。これを通して、本研究をより深めることができるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である2021年度は、一般市民に対する調査票調査の実施を計画している。この計画は予定通りに実施可能な見通しが立っており、現在質問項目の精査に着手している。また、「現在までの進捗状況」において述べた通り、1年目である2020年度の研究成果の論文化に並行して取り組む予定である。さらに、当初計画から新たに加わった2つの新たなプロジェクトについても、継続的に分析とアウトプットに努める予定である。地方再犯防止推進計画に対する質的内容分析については2021年度末の論文化を、“desitance”概念を捉え直すためのメタ的分析については秋頃の学会報告を、それぞれ計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響によって対面での学会開催が中止されたことから、当初予定していた旅費の執行がなくなったことが、差額が生じた大きな理由である。この差額を有意義に活用するべく、2021年度に実施する調査に充当する予定である。
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