2021 Fiscal Year Research-status Report
確率モデルを用いた社会調査データセットの欠損値への対処手法開発とその応用
Project/Area Number |
20K02171
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中井 美樹 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (00241282)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 縦断データ / 不完全データ / 潜在移行分析 / 主観的幸福感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、過去数年間に進めてきた、欠損値を含む社会調査データ分析のための新しい手法をさらに拡張し、手法の改善とその有効性の検証を推進することにある。プロジェクト2年目の2021年度は以下の2つの研究を軸に取り組んだ:(1) 直接観測されない変数(潜在変数)の時間的な移行過程の分析、(2) パネル調査データを用いた、パンデミック下のジェンダー不平等についての分析、である。主として(1)に集中的に取り組み顕著な進展が見られた。日本全国から無作為抽出により16年間にわたり収集されたパネル調査データを用い、欠損値を考慮に入れた隠れマルコフモデルの応用により、潜在移行分析を進めた。具体的には、主観的幸福感がいかなる社会経済的および人口学的要因によって規定され、経時的にどのように変化するのか、またその変化にはどのような要因が関係するのかを明らかにしてきた。このようにパネル調査データに新たな統計解析手法を応用することにより、先行研究とは異なる知見あるいは先行研究の知見を異なる角度から支持する結果が得られている。 本研究は海外の研究協力者との共同研究により推進することから、研究メンバーが責任を持って研究遂行しつつ、研究会や学会参加を通じて本格的・集中的な議論を行う予定であった。しかし、新型コロナ感染拡大により当初予定していた研究会や海外出張が不可能となったため、インターネット通信環境を整備しオンライン会議での打ち合わせや討論をスムーズに行えるようラップトップPCを購入し、スカイプなどを使ったオンラインミーティング、サーバを用いた資料共有などを実施する形に替え、研究協力者との意見交換や情報共有および議論を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染拡大により当初予定していた研究会や海外出張は不可能となったが、今年度の目標としていた課題、とくに欠損データを含む縦断的社会調査データへの縦断的データ解析手法の応用について成果をあげた。同じ対象を繰り返し調査することで対象の時間を通じた変化を捉えることができるパネル調査データとして、2003年~2018年の16年間14時点に実施された「くらしの好みと満足度についてのアンケート」調査データを利用し、subjective well-being の経時的パターンの分類と個人内変化の分析を進めてきた。2021年度に進めてきた研究成果は、2022年度に国際学会において発表を行うことを予定しており、報告を通じて本研究の意義を示しつつ研究の課題をさらに明確にすることができると考える。さらに2021年度中に進めてきた研究成果は英語論文としてまとめつつあり、2022年度に投稿を予定している。この点において、縦断的社会調査データの応用研究成果を国際的に発信していく、という次年度の研究目標を速やかにスタートできる状況にもある。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクト3年目の2022年度には、今年度までに進めてきた、直接観測されない変数(潜在変数)の時間的な移行過程の分析に引き続き取り組み、その成果を国際学会において発表し、加えて成果の公表を英文学術雑誌において行う予定である。縦断的データ解析手法をパネル調査データに応用し、さらに標本ウェイトや欠損値を適切に考慮に入れた分析手法を適用することにより、先行研究とは異なる知見あるいは先行研究の知見を異なる角度から支持する結果が得られている。この点で、本研究成果は重要な意義を持つ。 2022年度も上記の研究遂行は研究協力者との連携を通じて推進する。海外の研究協力者とは、日常的には電子メールなどオンラインによる情報の共有を図るとともに、スカイプなどを使ったオンラインミーティング、サーバを用いた資料共有などを実施する形で進める予定である。加えて本格的な議論を展開するための研究会開催を年2回程度予定している。
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Causes of Carryover |
本研究は海外の研究協力者との共同研究により推進することから、新型コロナ感染拡大前の計画では、研究メンバーが責任を持って研究遂行しつつ、研究会や国際学会参加の折りに本格的・集中的な議論を行う予定であった。しかし2020年度春以降、2021年度も引き続き新型コロナ感染が収まらず日本や各国の感染拡大に伴う移動制限が続いた。そのため、当初予定していた研究打ち合わせのための海外出張が不可能となり、予定されていた国際学会も延期となった。そのため2021年度に計画していた海外の共同研究者との研究会のための海外出張を延期せざるを得ず、スカイプなどを使ったオンラインミーティング、サーバを用いた資料共有などを実施する形に替えざる得なかった。今年度予定した打合せのための海外出張の旅費および国際学会参加のための旅費は年度内に執行されず、次年度以降になったため、次年度使用額として残っている。2021年度に計画していた海外の共同研究者との研究打ち合わせのための海外出張については2022年4月に実施し、2022年9月に予定されている国際学会において研究成果を国際的に発信していくことを計画している。そのため、2022年度に数度の研究打合せ・資料収集および成果発表のための旅費を計上している。
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