2020 Fiscal Year Research-status Report
家族責任規範の構築・脱構築ー多様化するケアラー支援のためのメタ分析
Project/Area Number |
20K02172
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
斎藤 真緒 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70360245)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 淑恵 (濱島淑恵) 大阪歯科大学, 医療保健学部, 准教授 (30321269)
津止 正敏 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70340479)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ケアラー支援 / 男性介護者 / 家族規範 / 子ども・若者ケアラー / ヤングケアラー |
Outline of Annual Research Achievements |
男性介護者研究にかかわっては、2019年度に参加した国際会議の成果として、編著を作成した(Mao Saito、Male carers and Gender-Specific Support in Japan, in: Dolors Comas d’Argemir and Silvia Bofill(eds.), Caring for elderly and dependent people: a political and social issue 2021年6月出版予定)。また、介護殺人裁判にかかわるにかかわるデータベース検索を行い、分析のためのデータ収集を行った。ケアの閉塞化を回避する方策として、先行研究では、第三者の関与がしばしば指摘されているが、実際の介護殺人の事例が示唆しているのは、単なるケアの分散化・ケアラーの複数化では、介護殺人は回避できていないという現状である。主たるケアラーとしての家族介護者が内面化している家族規範の内実を、今後の裁判事例分析を通じてより綿密に明らかにする必要がある。 子ども・若者ケアラー研究にかかわっては、ユースサービス協会との連携で、事例検討会を開催し、当事者の語りから支援の方策の検討を行った。また、ケアラー「発見」のための啓発活動の一環として、当事者に協力してもらい、自身のケア体験と子ども・若者へのメッセージをまとめた動画を作成した(https://www.youtube.com/watch?v=Xs3aZZGPETk&t=14s)。京都市内の小中学校へ配布するリーフレットも当事者と一緒に作成した。先駆的な取り組みをしているイギリスのヤングケアラー支援について紹介論文を執筆した(「イギリスにおけるヤングケアラー支援ーシェフィールドを中心に」大阪ボランティア協会『ウォロ』2021年2・3月号)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際学会については、ほとんどオンラインに切り替わっているので、むしろ、他の研究活動や業務との調整がしやすく、研究時間の確保が可能になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、研究成果の社会的還元として、本(共著)の出版と国際シンポジウム(オンライン)の開催を予定している。子ども・若者ケアラーは、2021年4月に厚労省と文科省による全国調査結果が発表されたばかりであり、全国的に問題関心が高まることが予測される。これまでの研究成果を社会的に還元する契機として、積極的な発信を行っていく予定である。また、国際学会での発表も予定しており、研究に関する知見をさらに広げるべく、国際的な研究ネットワークの構築にも尽力する予定である。最終年度である2022年度には、継続的に行ってきた介護殺人裁判の事例研究について、学会報告と論文執筆を予定している。
|
Causes of Carryover |
国際学会はコロナによって延期となり、旅費が不要となったため。次年度は、これまでの子ども・若者ケアラーの研究蓄積をまとめるべく、事例検討会にかかわっていただいた当事者や支援者とともに、出版を予定している。したがって、出版助成に助成金を活用する予定としている。
|
Research Products
(5 results)