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2021 Fiscal Year Research-status Report

Conditions of movements towards anti-exclusionism under biculturalism, multiculturalism and neoliberalism

Research Project

Project/Area Number 20K02175
Research InstitutionOsaka International University

Principal Investigator

中村 浩子  大阪国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00441113)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords反排外主義 / モスク銃乱射テロ事件 / ニュージーランド / 二文化主義 / 多文化主義 / 新自由主義 / 先住民 / ポピュリズム
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、排外主義の克服を目指す「反排外主義」の諸実践が展開・継続する背景と条件について、二文化主義、多文化主義、新自由主義との関係において解明することである。新型コロナウイルス流行の影響で2021年度においても現地調査を実施することはできなかったが、以下のような進捗を見ることができた。
2021年7月、先住民マオリの文化及び知識は「科学ではない」として、学校教育における承認に意義を申し立てる7名のオークランド大学所属研究者による書簡が保守系雑誌に掲載された。マオリの知識を学校教育から排除しようとするこの書簡は直ちに国内の複数の研究者から批判を受け、2000名以上の研究者が書簡を非難する声明にオンライン上で署名を行い、ニュージーランド王立協会も「狭隘で時代錯誤な科学の定義を拒絶する」との共同声明を発表した。その一方で、「言論の自由」を掲げつつ書簡を擁護する立場もネット上では見られた。
本研究では排外主義的な書簡が招いた批判や反応について整理すると同時に、書簡の執筆者の1人であり、ニュージーランドの二文化主義を長らく批判してきた教育社会学者について、その研究上の軌跡を辿り、依拠する理論的立場と使用する論理について整理した。その上で、①欧州ポピュリズムとの相似性、②排外主義へと突き進む背景、③何を攻撃しようとしているのか、④排除される側は攻撃にいかに対峙できるか、について考察を行い、論文及び著書の一部とすべくまとめた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウイルス流行が長引く中で現地調査を実施することはできなかったが、2021年7月、学校教育において先住民マオリの知を排除しようとするオークランド大学研究者らによる排外主義的書簡が発表されたことを受け、書簡執筆者の1人であり二文化主義を繰り返し批判してきた教育社会学者を事例に、その研究上の軌跡を辿り、依拠する理論的立場と使用する理由付けについて整理し、以下のことを明らかにした。
第一に、エリートを排斥し自らを民主主義の伝統に位置づける、「民の声」を念入りに作り上げる、「タブー」を打ち破ることで自らの論点の再政治化を図ろうとする、などの点において、排外的な欧州ポピュリズムとの相似性が見られること。第二に、「他者」化された経験から怒りや憤りの感情を抱えるに至り、そうした感情が攻撃の原動力となっている可能性があること。第三に、先住民にとっては言語と文化の復興運動に不可避となる「戦略的本質主義」を批判し続けていること、などである。その上で、排外主義的攻撃に対峙する方法3つを見出した。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は、夏期(現地は冬期)に現地調査を実施する予定である。本研究1年目と2年目に実施した分析作業に関連する諸個人や諸団体に対する聞き取り調査に加えて、2019年3月モスク銃乱射テロ事件後に活動を行っている諸団体及びこれら団体への政府支援、また先住民マオリによる活動について聞き取り調査を行い、結果についてまとめる予定である。その上で、排外主義に対峙し克服する流れについて、また運動に誰がどのように参与するのかについて分析を行っていく。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症流行が長引く中、予定していたニュージーランドでの現地調査を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。しかし2022年度には実施できる予定である現地調査に使用する予定である。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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