2022 Fiscal Year Annual Research Report
歯科口腔疾患を患う市民のQOL向上を阻むコミュニティにおける障壁に関する研究
Project/Area Number |
20K02178
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鶴田 潤 東京医科歯科大学, 統合教育機構, 准教授 (70345304)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ノーマライゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は社会的情勢も落ち着いてきたことから、一般市民対象アンケート、国外(タイ)での基礎的調査を実施した。2023年2月に、歯科治療と日常生活での障壁に関するWebアンケートを行い、3年以内に歯科医療を受診した者を対象とし合計1,108名より回答を得た(男性:479名、女性:629名)(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会D2022-066)。「歯科治療を受けたことで「日常生活でなんらかの気を遣う状況や日常生活に悪い影響が生じた」には、はい:365名(32.9%)、「外食時に、歯・お口の中の状況により困った経験」には、はい:371名(33.5%)、「外食提供の場での口腔内状況に応じての配慮への希望」には、いいえ:1,029名(92.9%)であった。「友人に、あなたの歯・お口の中のことを指摘された際の感情」には、「恥ずかしい」665名(60.0%)であった。約3割の回答者が日常生活に悪い影響受けた経験や外食時に困った経験を有しており、歯科治療による課題でQOL向上が阻まれている方たちの存在が示唆された。高齢者を対象とした介護食などの充実も認められ、総論的には歯科・口腔保健状況が良くなるなか、今後、個々の市民の生活の質を向上するためには、これら少数割合への対応の検討も必要であると考えられた。国外(タイ)での基本調査からは、歯科保健制度により提供される歯科診療範囲が変わり、患者の歯科診療への意識が変わる可能性が示唆され、日本での歯科診療の次の目標として、心理面、ハード面でのバリアフリー、オーラル・ノーマライゼーションにつながる調査が引き続き必要であると考えられた。新型コロナウィルス感染症の影響で実施できなかった計画(タイ歯科医師へのインタビュー・外食産業担当者への調査、シンポジウム)について、引き続き、2023年度に研究室予算を利用しての実施を行う予定である。
|