2021 Fiscal Year Research-status Report
エイジング・イン・プレイス政策におけるインフォーマル・ケアの制度化に関する研究
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20K02186
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
湯川 順子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 助教 (80709642)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 改革の評価 / 高齢者の視点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エイジング・イン・プレイスをめざし、オランダの2015年に改正された社会支援法(以下、Wmo2015)のもとでインフォーマル・ケアを拡大するための取り組みについて、基礎自治体がどのように制度化しているかについて複数の基礎自治体を対象に明らかにしようとするものである。計画では、オランダ訪問による政策担当者や専門職についてのインタビューを予定していたが、前年度に続き、新型コロナウイルス感染症の影響で、訪問の見通しが立たなかったため、インタビューは令和4年度に実施することとし、その準備として、文献研究を行った。 オランダがエイジング・イン・プレイスを掲げ進めてきた福祉改革に関して、日本では、『オランダ・ミラクル』(松岡 2021)として評価されている。オランダ国内での評価は、肯定的な見方と批判的な見方が交互である(Maarse & Jeurissen 2016)。評価の視点として、基礎自治体に関するものとしては、課題に対処するための権限が十分でない(Schröder-Bäck2017)、フォーマル・ケアとインフォーマル・ケアの関係に対しては、専門職からボランティアへの移行という改革の方向による「境界」の研究などがみられる(Van Bochove 2018)。ただし、改革の評価については、エイジング・イン・プレイスの目的の一つである保健医療財政の抑制という視点からの研究は進められてきているが、もう一つの目的である高齢者の尊厳の保持という視点からインフォーマル・ケアの制度化を評価するという視点からの研究は今後の課題になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
オランダ訪問による政策担当者等への現地でのインタビューが、新型コロナウイルス感染症の影響で見通しが立たず、実施できていない。1回の訪問によるインタビューで成果を得られるよう準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、これまで実施してきた文献研究の成果を論文としてまとめる。また、文献研究に基づいて、インタビューガイドを作成し、政策担当者と高齢者へのインタビューを実施する。訪問によるインタビューが困難な場合は、オンラインでのインタビューに変更する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、オランダ訪問によるインタビューを中心とした計画が遅れているため。今年度は複数の基礎自治体の政策担当者へのインタビューを中心に、高齢者へのインタビューを一部予定している。次年度は、高齢者へのインタビューを中心に計画している。
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