2021 Fiscal Year Research-status Report
超高齢社会における「ケアの高度化」を担う介護専門職教育ーデンマークをモデルとして
Project/Area Number |
20K02197
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
野口 典子 中京大学, 現代社会学部, 教授 (10142647)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 介護労働 / 環境指標 / ストレス予防 / 代替要員 / 段階的復帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、日本の介護現場における人材不足を解消し、よりよい介護環境を整備するための方策を探ることにある。2021年度は、デンマークの実践現場へのヒアリング調査を予定し、予算も計上していたが、新型コロナウィルス蔓延のため、渡航することが困難となってしまったtため、コロナによる影響の沈静化を待って、実行することにした。 その間、これまで収集した資料の整理および新たな情報収集に努めた。とくに認知症ケアに関して、現地の協力を得ながら、実践報告書に関する検討を行った。 また、人材養成に関しては、デンマークソーシャルワーカー協会が作成した「ソーシャルワーカーの専門性と労働環境の指標となるスタンダード」の翻訳と内容の検討を行った。日本の介護現場では、介護職が離職する理由の主なものは「職場の人間関係」「運営のあり方への不満」であり、介護労働そのものの負担だけではないことがわかってきている。つまり、仕事の継続を可能にしていくための方策が不可欠なのである。デンマークでもこうした課題への検討がなされ、上記の指標が出されているのである。以下に概要をまとめておくと、①魅力的な職場にしていくための人事施策や指針があり、それが全職員に周知されている、②心理的労働環境、ストレス予防、病欠の扱いに焦点を当てた管理職教育が必要である、③職場で問題を感じたら同僚やリーダーのところに行くことができるオープンな文化を有している、④「病気のときは自宅にいる」ことを認識し、感染を予防し、病気からの早期の回復をサポートする、⑤病気や欠勤時に代替要員を利用することができる、⑥病気の職員の同僚に負担がかからないようにする、⑦心理的労働環境のために迅速な心理カウンセリングを行う、⑨段階的復帰と仕事量の調節をすることができるなどとある。 今後は、こうした提言を日本の介護現場において可能にしてための方策の検討を行っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス禍により、デンマークへの渡航が困難となったことにより、現地での直接的ヒアリング調査が延期せざるを得ない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
デンマークへの渡航が困難な状況であり、現地調査が遅れてはいるものの、現地の研究協力者との連絡は取れており、メールでの情報交換を行ってきている。そのことから、喫緊の情報集はできており、その翻訳や検討を順次行ってきているので、今後も継続していく予定である。 また、徐々に緩和されていくことが想定されてきており、2022年度中にはデンマークへの訪問、ヒアリング調査を行っていくつもりである。万が一、2022年度が困難な場合は、研究の延長も考えている。 さらに、デンマークソーシャルワーク協会の現場運営指標を参考に「日本版」の検討を行っていくことを予定している。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス禍により、海外渡航が困難となったことにより、旅費、謝金の執行が出来なかった。
|