2023 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢社会における「ケアの高度化」を担う介護専門職教育ーデンマークをモデルとして
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20K02197
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
野口 典子 中京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (10142647)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者ケア / ケアの高度化 / 専門職の養成 / 専門職の追加教育 / 専門職の就労条件の整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、海外渡航が可能になったので、研究対象であるデンマークの高齢者ケアと専門職のヒアリング調査及びその分析を行った。そこで行ったことは以下のようである。 第一に、認知症ケアの高度化実践についてである。①在宅でのくらしの継続が困難になった場合の対応として、デンマークでは、高齢者住宅、グループホーム、プライエムが制度化されてきた。特に、認知症の進行に伴って、その状態に合わせたケアが求められてきており、デンマークでは、「住宅とケア」の充実の強化を図ってきた。今回は、フランス、オランダで実験的に行われている「認知症村」の実践を取り入れた「認知症村Bryghuset」について、ケアの実際とそれを支える専門職についてのヒアリングを行った。また、都市型プライセンターとしてコペンハーゲン郊外の「Orestad Plejecenter」にて、重度認知症ケアについてヒアリングを行った。 第二、こうした高齢者ケアを支える専門職の養成とその確保について、養成大学の教員へのヒアリングと実際の教育現場の視察を行った。そして、養成されたソーシャルケアワーカーが就職後の待遇に関して、どのような保護体制が組まれているかについてソーシャルワーカー協会と労働組合(FOA)へのヒアリングを行った。 以上のヒアリングから、わが国の今後の高齢者ケアへの知見を見出すことができた。①わが国もまた高齢者の単身化を進行することが想定されることや長寿化に伴い認知症リスクが高まることは明白である。こうしたことから「認知症村」=くらし、介護、社会的活動の継続性を実現するという実践は検討の余地がある。②高齢者住宅の充実はわが国において急務であり、高齢者の安心を作り出す必須条件である。③そうした実践を支える専門職の養成確保は絶対条件であり、ソーシャルケアワーカーの確保のための待遇改善と就労条件保護政策は必須であるということである。
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