2020 Fiscal Year Research-status Report
「多文化共生のまちづくり」拠点における多文化ソーシャルワーク実践に関する研究
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20K02201
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
川端 麗子 (木下麗子) 神戸女子大学, 健康福祉学部, 准教授 (90632373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卜田 真一郎 常磐会短期大学, その他部局等, 教授 (20353021)
伊地知 紀子 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40332829)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 多文化共生のまちづくり / 多文化共生のまちづくり拠点 / 外国にルーツをもつ住民 / 大阪市生野区 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多様な外国籍住民が集住する地域において「多文化共生のまちづくり」拠点における多文化ソーシャルワーク実践のあり方を検討することである。 研究の推進方法は「①外国籍住民の生活課題の把握」「②外国籍住民への相談支援体制の検討」「③外国籍住民と協働する『多文化共生のまちづくり』に必要な取り組みの検討」「④『多文化共生のまちづくり』拠点を活用する多文化ソーシャルワーク実践の検討」の4つのフェーズを設定している。 2020年度には大阪市生野区をフィールドとして①②に取り組んだ。①については、定住歴の短い外国籍住民の福祉的課題にフォーカスを当て、日本語学校生徒を対象としたフォーカスグループインタビューを実施した。②については、「多文化共生のまちづくり」活動に関わる実践者を対象としたインタビュー調査を実施し、国内学会誌に論文を投稿し掲載が決定した。 インタビュー調査では、多文化共生のまちづくり活動に関わる〔地域〕〔医療・福祉〕〔教育・保育〕〔商業〕の4分野における実践者20名への半構造化インタビューを実施し、各分野において語られた「外国にルーツをもつ住民が抱えている課題」と「課題解決のために必要な拠点機能」について検討を行った。それらの結果から、「個人や社会の課題解決」を住民主体の官民協働体制にて実施すること、多様な人々が繋がるための仕組みをつくる「繋がりの創出」との循環構造をつくる下支えとしての「収益性を考慮した事業」の実施が必要であるとする政策提言を行った。また、「多文化共生のまちづくり拠点」の創設の可能性についてはクラスター理論を用いて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大阪市生野区において定住歴の短い外国籍住民の生活課題を把握するための日本語学校生徒を対象としたフォーカスグループインタビュー及び「多文化共生のまちづくり」活動に関わる実践者を対象としたインタビュー調査の2つの調査を実施できた。 日本語学校生徒を対象としたフォーカスグループインタビューでは、A校、B校、2校の日本語学校の協力を得て、調査を実施した。これらのインタビューデータは全て逐語録を作成し、現在データの分析方法等について検討を行っている。 「多文化共生のまちづくり」活動に関わる実践者を対象としたインタビュー調査では、「外国にルーツをもつ住民が抱えている課題」と「課題解決のために必要な拠点機能」を明らかにするために、半構造化インタビューを実施した。その結果、分野の垣根を超えた共通した課題があることが明らかになり、課題解決のための拠点機能として【まちづくり】【場としてのコミュニティ】【相談支援】【多機関連携】【社会問題解決】【言語・教育支援】【学びの場】【収益事業】の8つの機能を抽出した。これらの機能を図式化し、政策提言を行った。この成果は、論文「大阪市生野区における『多文化共生のまちづくり拠点』に関わる検討―まちづくり活動に関わる実践者へのインタビュー調査を通して―」にまとめている。また、インタビュー対象者の語りにフォーカスした分析結果は『大阪における多文化共生の現場に学ぶ』にまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した、2つの調査(日本語学校の生徒へのフォーカスグループインタビュー、実践者へのインタビュー)を踏まえて、外国籍住民と協働する「多文化共生のまちづくり」に必要な取り組みを問うアンケート調査の設計を行う。 アンケート調査票の設計には質的調査を活用する。そのため、フォーカスグループインタビューの分析を進めることが必要となる。実践者へのインタビューについても、分析を再度見直していく。 尚、多文化共生のまちづくり拠点の創設に取り組むNPO法人との連携があるため、実践者らとの協働体制で調査実施計画を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍による移動制限から、旅費を使用しなかったこと、フォーカスグループインタビューが日本語学校への依頼となったことから、個人への謝金ではなく学校全体への謝金となったため、予定していた研究費を下回ることになった。 次年度使用額は、フォーカスグループインタビューの分析、アンケート調査の設計費等の準備に充てることとする。
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Research Products
(6 results)