2021 Fiscal Year Research-status Report
高等学校での中途退学防止及び進路移行におけるソーシャルワーク支援プログラムの構築
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20K02202
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
門田 光司 久留米大学, 文学部, 教授 (50269081)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高等学校中途退学 / スクールソーシャルワーカー / 学校ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は国内調査と海外調査を基盤に、高校生への中途退学未然予防及び進路移行支援における効果的な学校ソーシャルワーク支援プログラムを開発していくことにある。2021年度の研究計画は、①全国都道府県及び政令指定都市教育委員会への郵送によるアンケート調査を実施し、高校学校でのSSW配置状況の有無について、SSWを配置している場合のSSWに期待する支援役割等について明らかにしていくこと、②高校学校のSSWへの支援内容についてインタビュー調査を実施していくこと、③海外でのSSWに対する聴き取り調査を実施していくこと、④高等学校でのSSWによる中途退学予防及び切れ目のない進路移行支援での学校ソーシャルワーク支援プログラム案の作成である。 教育委員会へのアンケート調査では、送付した55カ所のうち34カ所から回答を得た。多くの教育委員会が、公立高等学校でのスクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)活用事業を実施しており、すべての教育委員会がSSWによる支援は必要であると回答した。SSW活用の課題では、人材確保や財源確保、学校でのSSW理解の周知などの指摘があげられた。 高校学校の3名のSSWへのインタビュー調査結果では、SSW担当教員が配置されている学校では教員と連携しながら生徒面談や家庭訪問、学内会議の参加等、生徒の中途退学未然防止として大いに活用されていた。 これらの調査結果を踏まえ、「高等学校でのSSWによる中途退学予防及び切れ目のない進路移行支援での学校ソーシャルワーク支援プログラム案」を作成した。このプログラム案では、SSWの学校内での効果的な活用方法やSSWの支援事例を加え、冊子「高等学校においてスクールソーシャルワーカーを効果的に活用するために」として作成した。 なお、海外でのSSWに対する聴き取り調査においては、コロナ禍のため海外渡航ができず、実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、高等学校が抱える中途退学未然防止と進路移行支援での課題に対し、担当教員を対象に郵送によるアンケート調査を実施し、求められる支援内容を明らかにしていくことであった。この研究目的においては、全国の高等学校全日制からランダムに抽出した700校、定時制高校500校を対象にアンケート調査を実施した。 2021年度は、①全国都道府県及び政令指定都市教育委員会への郵送によるアンケート調査を実施し、高校学校でのスクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)配置状況の有無について、SSWを配置している場合のSSWに期待する支援役割等について明らかにしていくことであった。この研究目的においては、全国都道府県及び政令指定都市教育委員会(55カ所)へのアンケート調査を実施した。また、高校学校でSSWを配置している自治体(例えば、東京都、福岡県、その他)のSSW10名程度から直接支援内容とその効果性、支援課題について聴き取り調査を実施していくことである。この研究目的では、新型コロナウイルス感染症対策より大学での県外出張制限のため、福岡県内のSSW3名からの聞取りに終わった。「高等学校でのSSWによる中途退学予防及び切れ目のない進路移行支援での学校ソーシャルワーク支援プログラム(案)」の作成においては、SSWの学校内での効果的な活用方法やSSWの支援事例を加えた冊子「高等学校においてスクールソーシャルワーカーを効果的に活用するために」を作成した。 2020年度及び2021年度に予定していた海外でのSSWに対する聴き取り調査の実施においては、韓国教育委員会,台湾教育委員会、シンガポール教育委員会、カナダ・トロント教育委員会及びSSW本人への聞き取り調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症対策より海外渡航ができなかったため、海外調査は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究計画は、高等学校におけるスクールソーシャルワーカー(以下、SSWと記す)による中途退学予防及び進路移行支援での学校ソーシャルワーク支援プログラムの効果性を実施検証することにある。2021年度に作成した「高等学校でのSSWによる中途退学予防及び切れ目のない進路移行支援での学校ソーシャルワーク支援プログラム(案)」を活用し、福岡県内の高校学校に配置されているSSWに協力を得て、①支援プログラムの研修の実施、②研修後、1~2学期間(進級及び留年が想定される2023年1月まで)でのSSWによる支援プログラムの実施、③支援期間中でのSSWの支援成果でのプロセス評価を実施、④中途退学未然防止及び切れ目のない進路移行支援の成果の検証、この検証を受けてのより効果的な支援プログラムを構築することにある。 また、支援プログラムのガイドラインの報告書作成と公表である。研究成果の発表として、支援プログラムのガイドラインの報告書を作成し、高等学校や教育委員会、関係機関に発送する。また、論文投稿を行う。そして、科研費申請期間終了後の2023年度以降より、高等学校に配置されていくSSWへの支援プログラムの研修を実施していく予定である。 海外でのSSWに対する聴き取り調査の実施においては、本年度も新型コロナウイルス感染症対策にて海外渡航ができない場合、現在、韓国SSW協会、台湾SSW協会、シンガポールSSW協会と福岡県SSW協会がAsia Network of School Social Work(2019年10月に発足)のネットワークを作っている。このネットワークでは定期的なニューズレターを発刊している。このネットワークより、各国での高等学校での中途退学未然防止及び切れ目のない進路移行支援に関する取り組みについて、オンラインツールを通して聴き取りを実施していく。
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Causes of Carryover |
2020年度及び2021年度に予定していた海外でのSSWに対する聴き取り調査の実施においては、韓国教育委員会,台湾教育委員会、シンガポール教育委員会、カナダ・トロント教育委員会及びSSW本人への聞き取り調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症対策より海外渡航ができなかったため、海外調査は実施できなかった。
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