2023 Fiscal Year Annual Research Report
「雇用なき成長」下における若者の自立支援のあり方の国際比較研究
Project/Area Number |
20K02206
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 宏 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50322780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村澤 和多里 札幌学院大学, 心理学部, 教授 (80383090)
村澤 真保呂 龍谷大学, 社会学部, 教授 (80351336)
山尾 貴則 東北文化学園大学, 現代社会学部, 教授 (80343028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 若者の自立 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、インド研究班が昨年度中の現地調査で収集した高等教育に関わるデータの整理分析とその成果のとりまとめを試みた。具体的には、インド政府による高等教育機関調査(All India Survey on Higher Education:AISHE)におけるウッタル・プラデーシュ州ワーラーナシー県での調査結果の個票データを整理分析の上、論文として公開したことである。この論文では「雇用なき成長」の背景の一つといえるインドの高等教育の近年の発展の特徴が明らかになった。なお、この論文では高等教育機関データベースとしてのAISHEの信頼性についても検討し、2010年の調査開始以来、その信頼性はかなりの程度向上していることも確認した。この点も学術的な成果の一つである。また研究最終年度である今年度は、インド研究班、フランス研究班、日本研究班、韓国研究班による研究初年度以来の成果のとりまとめも試みた。その結果、20世紀の終わりから21世紀の頭にかけて、つまり後期近代と呼ばれる時期に入り各国で「まともな仕事に就けない若者」という問題が顕在化していること、その背景には20世紀型の経済成長路線の終焉や新自由主義的経済政策の浸透、人口構成や家族のあり方の変容といった世界共通の社会経済的潮流があるといった共通点が確認された。一方で経済発展の程度や社会保障制度の状況により、「まともな仕事に就けない若者」の社会的表象や若者たちが直面する具体的な困難は各国毎に多様であることも明らかになった。こうした「若者問題」の共通点と相違点を明らかにしたことが研究期間全体の大きな成果である。
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