2020 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症者の利用施設および就労状況の違いや心理社会因子とリカバリーとの関連性
Project/Area Number |
20K02217
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡本 隆寛 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (60331394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 浩幸 三育学院大学, 看護学部, 准教授 (60367589)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / リカバリー / 就労 / セルフスティグマ / 地域生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「地域で生活する統合失調症者の社会参加レベルの違いがリカバリーに与える影響と、相互に関連する心理社会要因を明らかにする。」当事者の地域生活の質の向上と共生社会の実現のために必要な知見を得ることを目的としている。 本年度は、首都圏にある精神科デイケア、就労継続支援A/B型事業所、特例子会社を対象にパイロット調査を実施した成果を日本リハビリテーション連携学科に発表した。この調査ではデイケア、就労継続支援A/B型事業所、特例子会社を利用する342名に、日本語版Recovery Assessment ScaleによるリカバリーレベルとLinkスティグマ尺度、情緒的支援ネットワーク尺度、ピアサポート経験、趣味、病名開示などの個人属性を評価した。 統合失調症者のリカバリーレベルは、利用するサービスや就労状況により差異がみられなかった。重回帰分析では、職場や友人/医療者からの高い情緒的支援の認知、低いセルフスティグマ、趣味、高年代、初診年代の低さが有意な変数として選択された。就労の有無や利用施設の違いよりも、他者からの情緒的支援やセルフスティグマの軽減がリカバリーを促進する可能性が示唆された。 首都圏の精神保健福祉サービスの利用者を対象としたため、均一性や地域による格差など、就労支援内容の影響にも留意する必要がある。さらに、きわめて個別的な概念であるリカバリーを、自己記入式質問紙を用いた数量的評価のみに基づいて一般化することには慎重であらねばならない。個人の生活や主観性、価値観にも配慮した質的研究によるナラティブな検証を加えることが、統合失調症者のより良いリカバリーの達成に寄与すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究が遅れた要因として、コロナ禍対応にて学部及び大学院講義の授業準備に時間を要し、本研究にかける時間が削られてしまったことがあげられる。 進捗状況してしては、日本全国を調査対象として精神科デイケア、訪問看護ステーション、就労継続支援A/B型事業所、種労移行支援事業所の郵送先を選定、公文書、依頼書、質問紙内容の決定が終了している。また、学内の倫理委員会において、承認が得られた状況にある。2021年5月より順次、調査紙の郵送を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
郵送紙の印刷セット・郵送は、業者委託をし、7月までに全国規模の終了させる。その後、研究分担者と協力をして、順次データ入力、分析作業を進めていく予定である。 9月頃より論文作成をはじめ、2022年3月に開催される日本リハビリテーション連携科学学会にて成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に全国規模の質問紙調査を実施する予定であったが、コロナ禍にて研究準備が進まず実施することができなかった。そのため2021年度に実施使用する予定である。
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Research Products
(2 results)