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2020 Fiscal Year Research-status Report

日米における生活困窮者支援策に係る実証的研究 ストリート組織の視点から

Research Project

Project/Area Number 20K02221
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

木下 武徳  立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (20382468)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords生活困窮者支援 / アメリカ / 日本 / ストリート組織
Outline of Annual Research Achievements

2020年度が科研費に関する日米における生活困窮者支援策に係る実証的研究の初年度であったが、研究開始直前のコロナ禍のため特に現地調査を前提にした研究が困難になった。そのため、文献研究を主とした研究しかできなかった。他方、コロナ禍は同時に、雇用に大きな影響を与え、生活困窮者の多い非正規労働者を中心に失業や休業を余儀なくされ、家や食料の喪失をもたらし、生活困窮者支援の重要性を高めることになった。つまり、生活困窮者支援は平時の生活困窮者支援とコロナ対策としての支援の二重の意味を持つ様になった。したがって、本研究を遂行するためには、日米の生活困窮者支援制度とコロナ対策の両方を同時に対象とする必要があり、それらを取りまとめるのに時間を要している。
具体的には日米の生活困窮者支援に関する文献収集、また、コロナ禍の生活困窮者支援に関わる研究会等に参加して、現在進行形で進む、コロナ禍における日米の生活困窮者支援について動向を追った。本研究は、15年ほどのスパンで生活困窮者自立支援制度の変化を追うものでもあり、長期データの収集を行った。そこから見えてきたのは、貧困家庭一時扶助を中心にアメリカの公的扶助は貧困問題への対応力を大幅に低下させてきているということである。アメリカでは貧困家庭一時扶助(TANF)の利用は若干増大したのみであった。ただし、食料支援制度(SNAP)の利用はかなり増大した。
一方、日本では、日本全体として賃金低下や社会保障支出の抑制が生じたが、生活保護基準も下げてきたので、結果的に生活保護の増加になっていない。  日本では生活保護はコロナ禍でも減少気味であったが、生活福祉資金の特例貸付や住居確保給付金の利用が急増した。
日米とも生活困窮者支援は手薄い国に分類されるが、こうした制度的対応の変化についてさらに検討を深めたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

コロナ禍、また緊急事態宣言などと当初予期していない問題により、研究がなかなか進まない状況であった。そのなかで、アメリカについては、ウィスコンシン州の2年ごとの会計監査報告書を収集したり、連邦政府の政策動向や利用状況に関するデータを収集した。また、日本に関しては、2020年に本研究のパイロット的に実施した自治体アンケートの分析を行った。さらに、先述のように、コロナ禍における生活困窮者支援の実態を研究会や講演会、文献等により情報収集した。2020年度はコロナ禍のため、日本はもとより、コロナ感染者が世界一であったアメリカには現地調査ができず、研究計画通りに研究が実施できなかった。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策については、次の4点に集中して取り組みたい。第一に、アメリカ全体およびウィスコンシン州、カリフォルニア州、ニューヨーク州を中心に公的扶助政策の動向を15年スパンで政策の変化と利用状況の分析を行う。合わせて、近年はコロナ禍での対策を踏まえた検討をする。第二に、同様に日本においても、この15年ほどの生活保護と生活困窮者自立支援制度の制度改正と利用状況の分析を行う。特に、関東圏、大阪府、北海道を取り上げて、具体的な自治体を取り上げて、検討を行う。第三に、本研究のために、2020年始めにパイロット的に行った関東圏における生活困窮者自立支援制度の自治体アンケートの分析をしながら、今回のコロナ禍を踏まえ、先のアンケートを発展させてアンケート調査をして現状分析をしていきたい。 第四に、本研究で取り上げるストリート組織の視点から研究枠組みを精緻化させて、今後の研究枠組みの構築をする。これがまず必要な研究課題である。
なお、日米におけるインタビュー調査については、現状コロナ禍で残念ながら実施が困難であり、また研究時間が取れる予定である2022年度に集中的で実施できるようにしたいと考えている。

Causes of Carryover

コロナ禍により、日米の現地調査ができなかったことが要因としては大きい。それに変わる調査の仕方を検討する必要があると考えている。ただし、2022年度に研究休暇を得られる予定をしており、コロナ禍が収まっていれば、日米の現地調査に専念して取り組みたいと考えている。コロナ禍が収まりそうにない場合は、それに変わる調査の仕方、例えば、オンラインによるインタビュー調査等も合わせて検討をしたいと考えている。どちらにしても、オンラインによる情報収集やコミュニケーション手段が重要になるため、それに伴う機材の購入等に当てていきたいと考えている。

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Published: 2021-12-27  

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