2021 Fiscal Year Research-status Report
里親における乳幼児養育の現状と養育支援プログラムの開発
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20K02222
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上鹿渡 和宏 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10623689)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 里親養育 / 社会的養護 / 乳幼児里親 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続きThe Tavistock & Portman NHSのWatch Me Play!(WMP)チームと協働し、日本版のプログラムの実践について開発者のDr Jenifer Wakelynのアドバイスを受けた。昨年度翻訳を終えた養育者用マニュアル1に続き、支援者用のマニュアル2の翻訳を完成させ、ホームページ上で公開した。 WMPプログラム日本導入には社会的養護の乳児支援を行なっているフォスタリング機関、乳児院から研究への協力を得た。支援者にプログラムの説明、マニュアルの提供などを行った。現在のところ研究協力者は、支援者10名(社会福祉士、心理士など)、養育者7名(里親、養親、乳児院保育士)である。支援者にはプログラムの実施に必要な研修や説明会を数回実施。養育者には半構造化面接、質問紙調査、聞き取りによる子どもの発達に関する調査などを事前調査として実施した。 具体的なプログラムの実践に関しては、養育者に家庭での簡単な遊びの記録を毎回書いてもらうこととし、20分のプログラムを週3回実施してもらった。乳児院では職員の勤務体制などから一対一の時間を週3回取ることは非常に難しいことが判明し、頻度を週1回とした。支援者は、月2回の訪問をしてもらうことになった。加えて支援者にはThe Tavistock & Portman NHSの関係者からWMPの実践に関するスーパービジョンを月に2回実施した。来年度も前半では引き続きプログラムの実施、データの取得、また研究協力家庭の募集を行う予定である。 また、WMPプログラムの調査研究に関して、同様に新しくプログラムの導入行っているイタリアやオランダの実践者や、ロンドン大学、The Tavistock & Portman NHSのチームとプログラムの適応範囲拡大の可能性や効果測定などについて意見交換をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響で、2021年度においても研究代表者の渡英や、現地でのプログラム研修参加、開発者のDr Jenifer Wakelynの日本招聘等は難しかった。しかし、前年度同様にThe Tavistock & Portmanチームとの会議や助言などはインターネットを使用した形の研修などに切り替えることで対応した。また、マニュアルの翻訳や、国内でWMPの研修や実施については、当初の予定から大きく遅れることなく実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)2022年度前半では、継続的にWatch Me Playプログラムの研修を終えた支援者が関係するフォスタリング機関や乳児院内で養育者と子どもの募集を行う。 2)WMPプログラムを実施している乳児院、里親、養子縁組家庭への6ヶ月、12回の訪問が終了時点で、再度同様の事後調査として質問紙、半構造化面接、発達検査などを養育者や支援者に実施する。 3)新型コロナウイルスの状況を鑑みてWMPプログラム開発者Dr Jenifer Wakelynの日本への招聘やワークショップ、研修会を日本の社会的養育等の実践家や専門家に向けて行う。 4)事後調査終了後も、任意でのWMPプログラムの継続や終了の状況についても検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響から、今年度においても当初計画していた、渡英や現地での研修参加、一部講師の招聘ができなかっために、旅費や滞在費を使用することができなかった。また、日本国内でも移動が制限され、参加者のリクルートのための説明会やミーティングなどについても具体的な研究計画を立てることができなかった。そのために、こうした調査費用や内容を次年度に使用せざるをえなくなった。来年度に再度、渡英やプログラム開発者の日本招致などを計画しているが、新型コロナウィルスの状況に合わせた新しい形での研究調査を準備する必要があると考えられる。そのため、当初計画していた研修会やコンサルテーションについてインターネットによるオンライン開催の可能性を含めて予算を使用する予定である。
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Remarks |
日本での実践にむけたミーティングを実施しDr Jenifer Wakelynから助言を得た。またロンドン大学(自閉症等の子どもを対象)、オランダチーム(聴覚障害の子どもを対象)、イタリアの実践家・研究者(養子縁組支援として)とも意見交換した。The Tavistock &Portman NHSでは引き続き適応範囲や実践方法、効果にの検討を行う予定であり、日本との共同研究について議論がなされた。
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