2022 Fiscal Year Research-status Report
里親における乳幼児養育の現状と養育支援プログラムの開発
Project/Area Number |
20K02222
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上鹿渡 和宏 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10623689)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的養護 / 里親養育 / 里親養育支援 / 乳幼児里親 |
Outline of Annual Research Achievements |
The Tavistock & Portman NHSのWatch Me Play!(WMP)チームと協働し、日本版のプログラムの実践について開発者のDr Jenifer Wakelynとのミーティングを行い日本での実施についてアドバイスを受けた。 昨年度から引き続き、社会的養護の乳幼児支援を行なっているフォスタリング機関、乳児院の協力のもとプログラムの実施、データの取得、また研究協力家庭の募集を行った。 最終的にWatch Me Play!に関する研修に参加した支援者は支援者10名(社会福祉士、心理士など)であったが、日々の子どもへのWatch Me Play!プログラムを実施する養育者を見つける過程で、産休等の理由から2名が中断し、最終的にWatch Me Play!プログラム実践者は8名であった。Watch Me Play!プログラム実践に協力してくれた養育者(里親、養親、乳児院保育士)は10名であった。 プログラムについては、養育者は週3回、1回20分間、子どもへのWatch Me Play!プログラムを提供してもらい、簡単な記録を書いてもらった。支援者は月2回の家庭訪問とその後の訪問記録を書いてもらい、Watch Me Play!に関するコンサルテーションを月2回、6ヶ月ほど継続した。プログラムが終了した支援者と養育者には、事後調査として質問紙調査と、半構造化面接を行った。また養育者や支援者の記録は、機関内で匿名化し、守秘義務を徹底した形でデータ提供を受けた。 加えて、昨年度に引き続きWMPプログラムの調査研究に関して、イタリア、オランダ、ロンドン大学、The Tavistock & PortmanNHSのチームと研究調査に関する方法や効果測定などについて意見交換をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響で、2022年度において研究代表者の渡英と、現地でのプログラム研修参加、開発者のDr Jenifer Wakelynの日本招聘等を行うことができなかったが、The Tavistock & Portmanチームとの会議や、助言などは全てインターネットを使用し実施できた。 また、新型コロナウイルスの影響で、家庭訪問が難しくなる時期があり、プログラムスタートが大きく遅れたケースが複数発生した。このような状況の中で当初予定していたコンサルテーションの回数を終了しても、まだケースが始まっていなかったり、途中の者がいたために、フォローアップでのコンサルテーションを行った。協力家庭の募集や、訪問を中断したケースも多かったが、プログラムの実践は年度内には行えた。しかし、事後調査やデータ収集については年度内に完了できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2023年度前半では、Watch Me Playプログラムの事後調査として質問紙、半構造化面接、発達検査などを養育者や支援者に実施し、すべてのデータが揃った後半から分析を行う。 (2)2023年度に今後の日本でのワークショップやミーティングの計画を行い、後半に英国からWMPプログラム開発者Dr Jenifer Wakelynを日本への招聘し、日本の社会的養育等の実践家や専門家との意見交換等を実施する。 (3)日本でのWatch Me Play!プログラムの有効な導入方法について検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響から、昨年に引き続き、当初計画していた、渡英や現地での研修参加、英国からのプログラム開発者の招聘等ができなかったために、旅費や滞在費を使用することができなかった。また、日本国内でも研究協力者の募集や家庭への中断などがおこり、終了時期が大きく遅れることになり、計画通りにデータの収集が行えなかった。 上記の結果、旅費や講師謝金、調査・分析費用等を次年度に使用せざるをえなくなった。 来年度に再度、プログラム開発者の日本招聘、事後調査やその分析などを計画している。
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