2021 Fiscal Year Research-status Report
貧困世帯の貨幣運用に介入する政策・実践の金融的手法に関する研究
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20K02238
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
野田 博也 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (00580721)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 成年後見制度利用支援事業 / 日常生活自立支援事業 / 地域福利権利擁護事業 / 福祉サービス利用援助事業 / 金銭管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請時(2019年度)の研究計画では、2年目にあたる2021年度は支援機関への調査を予定していたものの、コロナ禍の影響を鑑み、当該調査の実施は次年度以降に変更した。これに代わり、別の年度に計画されていた研究を次の通り実施した。 1つ目は、「判断能力が不十分」とみなされる困窮世帯の人々にとっての権利擁護関連事業における家計管理に注目した。まず、成年後見制度利用支援事業の展開と論点について検討し、国の取り組みについての論点については、高齢者と障害者に分離した政策設計の是非や他の貧困・低所得対策との整合性を踏まえた制度設計や自治体政策の推進を指摘した。また、日常生活自立支援事業の展開と課題について検討した。特に福祉サービスの利用契約を形式的には主目的としつつも、実質的には日常的金銭管理が重視されている動向に着目し、制度設計全体における日常的金銭管理の位置づけやその特質を明らかにした。 2つ目は、家計のやり繰り、とりわけ食費のやり繰りに間接的に関連する民間の無料配布の活用についてである。これについては、こども食堂に関わる広範囲の文献資料レビューを行った。この結果、こども食堂に関わる研究の量は増加しているものの、実証研究については運営者に対に対する質的な調査がほとんどであった。一方、困窮世帯に注目した調査や居場所等以外の機能に着目した調査は比較的少なく、家計のやり繰りという観点からとらえた研究は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響が鑑み、対人援助を行う機関への調査を先送りにした。また海外渡航を伴う研究についても、コロナ禍の影響により進めることが難しい状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により実施に支障が生じる研究は延期し、コロナ禍の影響を受けにくい理論研究・歴史研究を進める。
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Causes of Carryover |
調査の実施及び海外渡航と伴う研究、研究成果の報告を行うことができなかったため。 調査の実施については今後の実施を検討する。 海外渡航が難しい場合は、それに関連する文献研究を重点的に行う。
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