2021 Fiscal Year Research-status Report
反抑圧的で対等な場づくり・地域づくりに向けた支援者変容の可能性
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20K02239
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
竹端 寛 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (90410381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 鉄忠 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 准教授 (20726046)
高橋 真央 甲南女子大学, 国際学部, 准教授 (50401609)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反抑圧的実践 / アクターネットワークセオリー / 場づくり / 支援者エンパワメント / 反抑圧ソーシャルワーク実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①反抑圧的で対等な場・地域づくりに関する先進地視察と理論研究の融合、②上記の場・地域づくりが可能となった現場における様々なアクターのネットワーキングに関する実証研究、③中間項的支援者が媒介子に変容するために求められるエンパワメント支援に関する理論的考察、の三点を明らかにすることを目的にしている。 研究2年目も、コロナ下ゆえに、出張を伴う現地視察などは叶わなかった。その代わり、毎月Zoomでの定例研究会を実施し、アクターネットワークセオリーやシステム理論に関する専門家をゲストにお迎えした拡大研究会も実施してきた。そのプロセスにおいて、本研究班としての成果をまとめる方法論が定まり、研究3年目に書籍化する為の内容検討につながった。 代表的な成果としては、研究代表者の竹端は研究論文 「死にゆく者が生者を束ねゆく : アクターネットワークセオリーで辿る義父の死」を刊行する。この中で、③中間項的な存在が媒介子に変容するとはいかなることか、を「死にゆく者」を題材にオートエスノグラフィー的に辿ることができた。また学会口頭発表「医療保護入院を巡る「中空構造」:「家族化」「商品化」された「残余」モデルを越えるために」においては、日本の精神医療で続く抑圧的な権力関係がなぜ維持されるのか、「ケアする・されるの『強制』がなぜ生じるのか」を歴史的に振りかえりながら検討した。 鈴木は研究論文「小さな都市で「よく生きる」の挑戦―イタリア型スローシティ「チッタスロー」運動の理念と展開」の中で、チッタスロー運動が目指した「よく生きる」実践を通じて、①反抑圧的な地域づくりとはなにか、②実践地のアクターのネットワーキングの実際について、考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目も、申請書提出時点では予想すらしなかったCOVID-19のおかげで、国内外の出張が出来ない、という事態が継続した。しかし、前年度から研究班のZoom研究会を繰り返す中で、移動制約性において生み出された時間を有意義に活用し、理論研究を大きく前進するだけでなく、これまでの研究蓄積から明らかになった成果をどのように社会に還元するか、についても集中的に議論を続けてきた。 その中で、この研究班での議論の成果を、より多くの人に読める形で、一般書として刊行する方向性が定まり、出版社とも交渉の上で、出版企画書が通り、次年度の刊行予定に向けての執筆作業も始まった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年は、研究成果の書籍化に向けて、月に1度程度のZoom研究会での集中的な議論を進めていく。その中で、「反抑圧的で対等な場・地域づくり」をするために、「わたし」をどのように開いていくのか、に焦点化した研究を進め、必要に応じてはゲストをお呼びしての議論も深めていく。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナ下で出張が出来なかった為、次年度使用額が生じた。ただ、研究は順調に推移しており、今年度は研究報告を一般書籍として刊行予定でもあり、その準備のための書籍や物品の購入、また対面での研究会開催などを通じて順調に執行する予定である。
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