2020 Fiscal Year Research-status Report
地域共生社会の構築におけるソーシャルワーカー活用の効果に関する研究
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20K02241
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
河野 高志 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (50647237)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / 地域共生社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、地域共生社会の実現に果たすソーシャルワーカーの役割を先行研究から整理した。具体的には、①地域共生社会の制度的な枠組み、②地域共生社会に関する論点と問題、③「共生」という概念の意味をふまえて、ソーシャルワーカーに期待できる役割を明らかにした。①はニッポン一億総活躍プランや社会福祉法の内容から地域共生社会が目指す全体像や支援の方向性について、②は地域共生社会の実現が地域住民や自治体への丸投げ福祉とならないよう留意することについて、③は「共生」が指し示す状態像の多面的な理解の必要性について、それぞれ検討した。 地域共生社会の実現においてソーシャルワーカーに求められる役割としては、まずソーシャルワーク本来の生活全体を捉えた幅広い実践があげられる。これは従来の制度的な縦割りの枠組みを超え、当事者や地域住民の生活実態に即した支援の提供やそれを可能にする仕組みを構築することである。地域共生社会の実現のなかでソーシャルワーカーは中心的な役割を果たす専門職であると考えられるが、一方で他の関係者との協働も欠かせない。そうした多職種連携の必要性についても検討し、効果的な役割分担の方法を明らかにすることが今後の課題である。 なお、研究の成果については、河野高志(2021)「地域共生社会の実現に向けたソーシャルワーカーの役割と課題 -先行研究の分析を通した検討-」『福岡県立大学人間社会学部紀要』第29巻第2号 pp.19-38で公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は地域共生社会の実現に果たすソーシャルワーカーの役割を先行研究から整理することが目標であり、それについては研究成果の公表も行うことができたことから、研究の進捗状況は概ね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究では、地域共生社会の実現への取り組みのなかでソーシャルワーカーや他職種が果たしている役割とその効果を明らかにするため、社会福祉協議会と地域包括支援センターにアンケート調査を実施する予定である。また、その結果をまとめ、ソーシャルワーカーが果たす役割と他職種が果たす役割の分担について検討していきたい。3年目以降は、2年目の成果を踏まえ、さらに具体的な役割の遂行方法や役割分担の指針等について検討していく予定である。新型コロナウイルス感染症に関する社会情勢次第ではあるが、インタビュー調査の実施も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた書籍が絶版等によって入手できなかったため。
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Research Products
(1 results)