2021 Fiscal Year Research-status Report
地域共生社会の構築におけるソーシャルワーカー活用の効果に関する研究
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20K02241
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
河野 高志 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (50647237)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域共生社会 / ソーシャルワーク / ケアマネジメント / インタープロフェッショナルワーク / 連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域共生社会の実現とソーシャルワーク機能の関係を明らかにするため、厚生労働省による地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制構築事業を実施した251市町村に所在する地域包括支援センターと市町村社会福祉協議会(計1,964か所)を対象に、無記名自記式の質問紙調査を郵送法で実施した。この2つの機関は、包括的支援体制の構築と地域における課題解決体制の構築に関して、上記事業の中で中心的な役割を果たしていることから調査対象とした。 この調査では、地域共生社会の実現に関する中心的な事業である重層的支援体制整備事業(【包括的相談支援】【参加支援】【地域づくり支援】【アウトリーチ等を通じた継続的支援】【多機関協働】【支援プランの作成と包括的な支援】)の取り組みの推進に与えるソーシャルワーク機能の影響を明らかにした。ソーシャルワークの機能は先行研究を踏まえ、「ケアマネジメント」「インタープロフェッショナルワーク(IPW)」「連携の促進」の3つとした。以上を踏まえてソーシャルワークの機能と重層的支援体制の構築の関連について共分散構造分析を行い、パス図を作成した。その結果、「連携の促進」から「IPW」に正の影響、「IPW」から「ケアマネジメント」に正の影響、「ケアマネジメント」から「重層的支援体制を構築する機能」に正の影響が認められ、ソーシャルワークの機能が地域共生社会の実現に一定の効果をもたらすことが検証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画においては、2年目(2021年度)で地域共生社会の実現におけるソーシャルワーク機能の効果を量的に把握することを予定しており、その点についての調査と分析を完了することができた。また、研究成果をまとめ、学会誌に論文を投稿中であり、成果の公表に関しても一定の進捗状況にあると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画における3年目(2022年度)の研究課題は、地域共生社会の実現に果たすソーシャルワーカーと他職種、地域住民等の役割や取り組みの効果に関する質的調査である。インタビュー調査を予定しているため、新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら5~10か所の地域で調査を実施するつもりである。インタビュー調査の実施が困難な場合は、アンケート調査による自由記述からデータを収集することも視野に入れる。
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Causes of Carryover |
2021年度に実施したアンケート調査の発送や集計・分析に係る人件費(アルバイト代)を予定より多く支出することとなり、次年度以降の人件費の支出を考慮するとやや支出の調整が必要であると考え、交付額より少ない使用額となった。新型コロナウイルスの影響で学会等の出席に係る旅費が生じていないこともあり研究計画の遂行に支障は生じていないため、このような対応をとっている。
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