2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K02260
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Research Institution | Saiseikai Research Institute of Health Care and Welfare |
Principal Investigator |
原田 奈津子 社会福祉法人恩賜財団済生会(済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門), 済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門, 上席研究員 (20389513)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害福祉 / 福祉施設 / 受援 / 事業継続計画(BCP) / 研修 / 情報共有 / 連携 / 福祉避難所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、被災時の福祉施設の受援体制の普遍的な構築に寄与することを目指している。最終年度では、2020年度や2021年度の研究結果を踏まえ、さらに、課題となっている福祉施設の災害時や感染症対応に向けた事業継続計画(BCP)の策定も踏まえつつ、インタビュー調査を行った。2施設へのプレインタビュー調査を経て、7施設の特別養護老人ホームおいてインタビュー調査を行なった。なお、所属先の倫理委員会において承認を得た上で実施した。施設長や生活相談員、看護師、介護職など、施設の多職種を対象としたグループインタビューの形式をとった。 インタビュー項目は、①準備(受援時のマニュアル整備、職員教育・訓練、災害支援活動の受け入れ体制の構築)、②受援(派遣福祉チームの受け入れと業務の調整、行政等との連携)、③回復(通常業務へのシフト、利用者や職員へのフォロー)、④今後に向けて(BCPの策定、策定後の研修やシミュレーションの課題)の4つの軸をもとにした。 インタビュー調査の分析を行い、受援に向けて必要な要素を抽出した。具体的には、①被災の想定(ハザードマップ等からみるリスク把握)、②施設でのBCP作成の担当者や施設内委員会の調整、③施設内・外での連携(地域の特性把握、派遣と受援の調整)、④情報共有(行政等)、⑤福祉避難所としての役割と課題の検討の5つである。 研究全体を通して、受援体制の構築にあたっては、児童、障害者、高齢者など対象者に広がりのある福祉施設があることや地域性の社会資源の状況などから、それぞれに応じた受援の仕組みの構築が求められていることが明らかになった。また、職種や職位に関わらず施設の職員全体が災害対応やBCPの内容等について情報共有し、意識的に災害などへの備えができるようにすることが必要であることが示唆された。本研究が、福祉施設の普遍的な受援体制の構築に寄与できればと考える。
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