2021 Fiscal Year Research-status Report
聴覚障害の親と健聴の子ども(CODA)における支援プログラムの開発
Project/Area Number |
20K02261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中津 真美 東京大学, バリアフリー支援室, 特任助教 (90759995)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CODA / コーダ / 聴覚障害者 / ヤングケアラー / 役割逆転 / 家族支援 / 子ども支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚障害の親をもつ健聴の子ども(Children of deaf adult/s;以下、CODA)は、幼少期より親の通訳を担い、子どもでありながら親を支援・擁護する立場に置かれることから、健聴の親子の発達経緯とは異なる「親子の役割逆転(role reversal)」等固有の関係性が指摘される(中津・廣田,2012)。本研究では、CODAと親のための支援プログラムの開発を試み、親子が直面する課題とニーズに即応する支援指針策定を目的とする。 昨年度の予備研究では、CODAと親の課題および支援ニーズを抽出し、親子関係の個別性と発達段階に応じた構造を明らかにした。 今年度は、CODA版と聴覚障害のある親版の2種の支援プログラム案開発を試みた。開発を進めるに当たっては、CODAと親の当事者が研究プロセスに関与するinclusive research(Nind,M.2017)の手法を用いることとした。そこで、聴覚障害学領域およびヤングケアラー支援の専門家のほか、CODAと聴覚障害のある親の当事者を研究メンバーに加え、計11名でプログラム内容を議論した。昨年度に解析した親子関係構造結果を概念的枠組みとして、質的に検討した。検討過程では、「コーダ自主研究会」を立ち上げ、同研究会内でもコーダ当事者へのヒアリングを行い、参考資料とした。その結果、CODAと親それぞれへの集団型セッションによる介入プログラムが最も効果的であろうと仮説を立て、講座形式を採用した支援プログラム案を策定した。 さらに、支援プログラム実施時の講師にはピア(CODAと親の当事者)10名程度を充てることとし、講師のための講座企画を立案した。当該企画では、患者スピーカーズ研修(香川,2017)およびヤングケアラー・若者ケアラースピーカー講座(一般社団法人日本ケアラー連盟)を援用して立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、コロナの影響を受け、講師のための講座および支援プログラムの実践研究(集合形式調査)実施に支障が生じ、研究計画を大幅に変更せざるを得なかった。 一方で、とくに支援プログラムについては策定後も精緻化を重ねることができ、来年度に繋げたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、講師のための講座および支援プログラムの実践研究を実施する。支援プログラムの前後において対象者の効果を測定し、当該プログラムがCODAと親の課題とニーズに対応可能な枠組み化を検討する。このままコロナ禍の状況が継続すれば、オンラインまたはハイブリッドによる調査実施とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により集合形式調査を延期したため、支出計画に変更が生じた。また、香川大学にて開催予定であった日本リハビリテーション連携科学学会がオンライン開催となり、旅費が支出されなかった。 来年度は、オンライン形式と集合形式を組み合わせたハイブリッド形式での調査研究実施を鑑み、実施のための機材購入の物品費や、運営スタッフの人件費・謝金の項目での支出を予定する。
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Research Products
(4 results)