2023 Fiscal Year Annual Research Report
先端技術による視覚障害者の歩行支援システムの開発及び実証的研究
Project/Area Number |
20K02269
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 信行 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30433478)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚障害者 / 歩行支援 / 歩行事故 / 歩行訓練 / VR / 誘導方法 / ドクターカー / サイレン音 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまで、新型コロナウイルスの影響で当事者や視覚障害者団体へのヒアリング調査や諸調査が滞っていたため、調査を中心に行った。その結果、新しい知見として、ドクターカーサイレンの音が聞こえにくいという社会的な課題が明らかとなり、それらについても研究を進めることができた。研究の成果として、ドクターカーサイレンを音響工学の視点から検証し、ラウドネス解析を行った結果を踏まえてYELP音という聞こえやすい音を、ドクターカーのサイレン音として社会実装することができた。 研究期間全体としては、先ず、視覚障害者が日常的に遭遇している歩行中の事故について、全国的な結果の報告を行った。過去5年以内の屋外歩行事故経験率は回答者の3割を占めており、事故の頻度も高い。また、自宅も含め、建物内での事故も多発しており、今後の建築設計における対応、既存の建築物への課題もあげられる。視覚障害者の歩行環境整備は、歩行支援と事故防止の両面から考えて行かなければならないが、特に、事故防止に関する配慮も十分に対応していくべきである。ドローンによる視覚障害者の誘導システムに関しては、ここ数年で法改正が行われた、航空法の影響もあるため、現実的にはハードルが少々高い。VRによる視覚障害者の歩行訓練システム、教育用VRの検討に関しても、実空間での課題等があるが、開発を進める意義があることは分かった。以上のまとめより、ソフト的な役割として、視覚障害者歩行訓練支援コーディネーターの提案をする。視覚障害者と眼科医、視覚障害者福祉団体、行政などを繋ぐ役割で、視覚障害者の情報提供や歩行訓練に関するアドバイス、情報提供を行うコーディネーターである。このシステムが構築されれば、視覚障害者の歩行環境はハードとともに円滑となり、歩行事故も減少することが期待できる。
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