2022 Fiscal Year Research-status Report
国際社会福祉研究の可能性:インディジナス・ソーシャルワークの理論的研究
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20K02275
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
松尾 加奈 淑徳大学, その他部局等, 准教授 (60727478)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インディジナイゼイション / ソーシャルワーク / フィジー / ミャンマー / エンサイクロペディア・オヴ・ソーシャルワーク / ミャンマーにおける仏教ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象国への渡航制限が緩和されたことを受け、11月20日~26日までフィジー共和国スバを訪問、NGO「エンパワー・パシフィック」のソーシャルワーカーと南太平洋大学(USP)ソーシャルワークの教員に面会し本研究に関する意見交換をした。またUSP大学図書館にてアジア太平洋ソーシャルワーク教育学校連盟(APASWE)の理事経験者たちが1970年代以降フィジー国内でソーシャルワーク教育発足に向け開催していた研修に関する文献調査を実施した。 本研究の長期目標は、ソーシャルワークを専門職という枠組みから拡張することである。所属するアジア国際社会福祉研究所が2020~2021年度に実施した国際共同研究「“ソーシャルワークが必要なとき”とサービス提供者:人々はだれに支援を求めるのか?」(通称「どこ行く」調査)は、本研究とも関連が深いことから、報告書の編集発行を主導し年度末に 最終報告書を発行した。また、戦前日本の社会福祉教育萌芽期に欧米ソーシャルワーク専門職教育を伝播した生江孝之について、日本におけるソーシャルワーク教育の現地化(インディジナイゼイション)の一例として全米ソーシャルワーク協会編纂の「エンサイクロペディア・オヴ・ソーシャルワーク」に執筆投稿(査読付き)、11月に掲載された。さらにミャンマーにおける仏教ソーシャルワーク研究について編集執筆し、書籍「研究シリーズ 仏教ソーシャルワークの探求No.8 東南アジアにおける仏教とソーシャルワーク―カンボジア・ミャンマー編-」として2月に出版した。 他にも、第7回淑徳大学アジア国際社会福祉研究所国際学術フォーラム「国際ソーシャルワーク(International Social Work)教育は何を教えているのか?なにを教えるべきなのか?」の企画運営、フィリピンで難民支援NGOのソーシャルワーカーへのオンラインワークショップで講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初想定していたUSP教員がオーストラリアに移住、後任教員の研究と本研究のテーマが近似していたことが判明し現地調査の計画変更を余儀なくされたものの、今年度はUSP図書館の協力によりAPASWE理事経験者の貢献について文献研究を進めフィジーでの専門職ソーシャルワーク教育のコンテクストを整理するとともに、現地で非専門職ソーシャルワーク実践者と交流することができた。 また、アジア(ベトナム・タイ・スリランカ・ブータン)におけるソーシャルワーク専門職がいない地域で、人々は困ったときにどこに支援を求めに行くのか、という共同研究の成果、日本のソーシャルワーク教育のインディジナイゼイションについて文献研究を成果として発表した。これらは研究計画当初には想定されていなかったが、本研究を補完する役割を果たしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に収集したフィジーの専門職ソーシャルワーク教育開発について文献研究の成果を執筆中である。また、フィジーのローカル・ガバナンス並びにオセアニア研究領域に知見の深い大阪学院大学鴻巣玲子教授(研究者番号30984893)に協力を仰ぎ、フィジーのソーシャルワーク施策の現地ヒアリング調査を実施、2022年度の報告と合わせて最終報告書を作成する。この報告書により、日本国内では文献が少ない南太平洋島しょ国の社会福祉(ソーシャルワーク)研究の基礎資料に資する記録とする。
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Causes of Carryover |
本研究は現地調査2回と国際学会発表のための旅費を計画していたが、コロナ禍により2021年度までは支出できなかった。2023年度は研究協力者との現地調査(2名*1回)、報告書作成、研究論文発表(英語)の支出を予定している。
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Research Products
(6 results)