2020 Fiscal Year Research-status Report
重度知的障害者の入所受け入れに取り組む高齢者施設の組織内合意プロセスに関する研究
Project/Area Number |
20K02279
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
川向 雅弘 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (80737841)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | のぞみの園 / 覚悟 / 運営法人の設立出自 / 理念 / リーダー / トップダウン / 納得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、重度知的障害者の受け入れに先駆的実践を行う高齢者施設の協力を得て次の3点に焦点化し進める。①重度知的障害者の入所受け入れに取り組む高齢者施設が地域の中でどのような役割を期待され、また、障害者支援施設や関連組織とどのような関係性を築いていたのか、そして、重度知的障害者の入所受け入れを積極的に検討するきっかけとなった内発的動機や要請された役割期待について。②重度知的障害者の入所受け入れの背景を踏まえながら、組織内でどのような検討がされたのか、受け入れへの条件整備、受け入れに向かう組織合意形成の障壁となった問題、管理者や職員集団が抱える葛藤、合意形成への取り組みが組織全体にもたらした影響や成果について分析する。③重度知的障害者の入所受け入れに向かう合意プロセスと合意の成立要件を分析する。 以上について、2020年度(研究初年度)は、施設における組織内の合意形成プロセスにおいて、内発的動機や要請された役割期待に応える背景を明らかにしながら、目的意識的な職員集団等への働きかけの「事例」を収集し、その分析結果を踏まえて、主に組織マネジメントの側面からの検証を企図した。 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園からの地域移行事例(約170事例)のうち、特別養護老人ホームへの移行はわずかに5事例である。そのうち、調査に同意を得ることが可能な事例を対象として、当該特別養護老人ホームにおける「入所受け入れに際しての組織内合意プロセス」についてのインタビュー調査をスタートさせる予定であった。しかし、コロナ感染予防の対策から、調査のための越境が制限され、夏以降に国立のぞみの園への調査依頼、調査対象への調査受け入れ打診、そのとりまとめ等の段階にとどまったが、5事例中4事例から調査協力への同意を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で他県への越境が制限されていたことから、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園との打ち合わせや、研究者紹介の同意を得ることができた特別養護老人ホームでのインタビュー調査が遅滞していた。しかし、地域移行事例である5つの特別養護老人ホームのうち4施設から調査協力の同意を得ることができ、2021年度4月からの訪問日程調整が完了しており、予定した研究の遂行が達成できる見込みがあるため。ただし、コロナ禍が継続しており、調査に出向く頻度(回数)と調査方法の変更を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年の4月に静岡県伊豆の国市、群馬県北群馬郡の特別養護老人ホームの調査が終了、5月に佐賀県多久市、7月以降(訪問予定の特別養護老人ホーム入所者の新型コロナワクチン接種終了後)に広島県三原市での調査を予定している。終了したインタビュー調査においては、そのデータをまとめ質的分析を行う。 2022年度は、分析結果と研究水準を満たす必要に応じて、再度の訪問と補足的な聞き取りを実施し、最終的な研究報告としてまとめる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定した旅費と人件費の執行ができなかった。次年度使用額については、2020年度研究の遅延部分に充当する。
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