2021 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of Pilot Program for Alternative Family Based Response in Child Protective Services.
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20K02288
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Research Institution | Kobe Women's Junior College |
Principal Investigator |
畠山 由佳子 神戸女子短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (60442331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 曜子 流通科学大学, 人間社会学部, 非常勤講師 (90300269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Differential Response / 市区町村での支援型対応 / 家庭支援 / ケースマネージメント / 実践評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は児相受理した児童虐待通告ケースの区への振り分け送致ケースに対する支援型対応実践モデル(以下実践モデル)の試行を振り分け送致開始に併せて4月より開始した。これまで開発に加わった2区に加えて、今年度さらに1区が加わり、研究協力区は3区となった。これら3区での実践モデルの定着に向けて、5月からの11月までの6か月間をモデルの研修期間とし、毎月2回、研究者と研究協力者が各区を訪問し、ガイドラインに沿った手続きを開発した書式を用い各担当者の担当ケースに当てはめて試行実施するグループトレーニングを行った。 また評価にあたっては研究計画に基づき、プロセス評価とアウトカム評価を本年度開始した。プロセス評価として本年度4月より次のことを行った。 1.区における振り分け調査の全体像把握(担当係員への聴き取り及び支援記録の閲覧)2. 支援型対応モデル実践に対する訪問評価者(主任研究者及び研究協力者)及び担当係員自身による忠実度チェック、3.係員に対するフォーカスグループインタビュー調査(1回目2020年9月・10月、2回目2022年3月実施)。忠実度チェックにより実践モデルの安定した定着を確認し、11月から実践モデルの本格実施とした。アウトカム評価対象として、2021年11月~2022年2月の間に協力3区に児童相談所から振り分け送致されたケースのうち事前に設定した条件に合う22ケースを対象として実践モデルを実施しアウトカム評価のための受理時ベースラインデータを収集した。評価の指標となるのは次の5つである。1.子どもの安全、2.子どもと家族のウェルビーイング、3.家族と支援者の関係性と家族の受ける支援の量。加えて、アウトカム評価として次のデータについてもベースラインとなるデータを収集した。4.支援者の自信の支援に対する自己効力感、5.区支援者と児童相談所関係者との連携。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの感染状況により、協力自治体の訪問が予定通りできなかった時期が2021年度当初見られたが、オンラインでの研修に切り替えるなどの対策を取ったため、最終的に当初の予定から大幅に遅れることなく定着のための研修及びデータ収集を進めることができた。 区の係員異動と当該年度から新規に参加した区により実践モデルの施行開始時期を当初の10月から11月に変更することになったが、大きな遅れや変更もなく研究を継続することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は前年度から引き続き、研究協力区への継続的な定期的訪問とグループでの評価レビュー、データ収集を行い、継続したプロセス評価を行う予定である。また6か月後・12か月後のアウトカム評価(2022年5月~、11月~)についても、対象ケースについて評価指標となるデータの収集作業を行う。これらの分析結果を基に、最終年度として振り分け先となる区から見たDifferential Responseシステムの評価およびその対象ケースに対する支援型対応実践モデル実施に対する実践について総合的に評価し、今後の子ども虐待対応のあり方と市区町村での家庭支援のあり方についての提言につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
当年度も新型コロナウィルスの感染状況により緊急事態宣言が発令され都道府県をまたいでの移動が制限された時期があり、訪問が中止もしくはオンライン訪問となった。分担研究者による当初予定されていた要保護児童対策地域協議会の参与観察調査は外部の参加者を受け付けられない状況となりキャンセルとなった。また学会発表エントリーをしていた学会についてもオンライン開催となったため余剰が生じた。来年度は最終年度となるため、必要なデータ収集のための現地訪問や成果発表のための学会発表旅費として前年度余剰分を使用する予定である。
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