2021 Fiscal Year Research-status Report
身体性の回復と関係性の再構築を支えるホリスティックな家族支援プログラムの開発
Project/Area Number |
20K02294
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 聡 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (00631269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 家族支援 / 発達障害 / 動作法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害や疾患のある人の家族の身体性の回復と関係性の再構築を支援する包括的な家族支援プログラムを開発することである。本年度は、発達支援のニーズのある子どもの保護者を対象とした支援方法について検討を行った。 1.発達支援のニーズのある子どもを対象としたグループセラピーに参加する母親に対する支援を実践し、その意義や課題を検証した。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、オンライン形式の親の会を実施した。様々な配慮の必要がある子どもの子育てに悩む母親へのオンラインカウンセリングの場面でリラクセーション(動作法)を実施した。対話のみのオンライン・グループワークと、リラクセーションによる体験の共有を試みたオンライン・グループワークを比較し、家族の身体性に着目した家族支援プログラムについて検証を行った。集団場面で子どもに関する報告を行うことに抵抗や戸惑いのある母親が、リラクセーションによる弛緩感や安寧感を経験し、その実感を語り合うことにより、自身の子育てを語ることへの防衛的構えを和らげ、、母親自身の実感や感情を交えた肯定的な語りに変化することが示された。これらの実践については令和4年度に報告する予定である。 2.重度重複障害の子どもを持つ母親へのインタビューを行った。子どものリハビリテイション場面に陪席し、子どもの運動発達や情動コントロールの変化を母親と確認しながら、母親の子ども理解や支援に期待することを聴取した。これらの結果は、日本臨床動作学会第29回学術大会(2021年10月29日~10月30日)シンポジウム「希望をつなぐ―新たなる日常と臨床動作法」で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害のある子どもを育てる保護者支援における実践研究は展開している。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、医療機関での実践研究の実施は困難であった。しかし、令和3年度3月に研究協力の予定の医療機関と令和4年4月からの医療機関における家族教室での研究活動について承諾を得ており、精神科領域における家族支援プログラムについて検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、発達障害児を育てる母親・父親の支援グループを実施する計画があり、動作法(ボディワーク・リラクセーション)や心理劇(ロールプレイング)を用いた支援プログラムについての検証を行う。また、医療機関の家族教室において、アルコール依存症や統合失調症などの患者の家族への心理教育と動作法や心理劇を用いた支援を実施する予定である。
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