2022 Fiscal Year Annual Research Report
身体性の回復と関係性の再構築を支えるホリスティックな家族支援プログラムの開発
Project/Area Number |
20K02294
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 聡 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (00631269)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 家族支援 / ストレスマネジメント / ストレスコーピング / ロールプレイング |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、家族支援で用いるストレスマネジメント技法、ロールプレイング技法などの検証を行った。 ストレスマネジメント技法としては呼吸法に注目し、その検証を行った。イメージの教示の違いによるリラクセーション効果や気分の変容について検証を行った。イメージ呼吸による腹式呼吸と胸式呼吸の誘導については、教示方法に関する課題が残されたが、呼吸法による怒り、混乱、抑うつ、疲労感、緊張感の緩和が確認された。また、大学生を対象として、ストレスコーピングの活用を促す方法についての検証を行った。すでに獲得しているストレスコーピングを列記することにより、セルフモニタリング機能が高まり、不快な思考や感情の鎮静化が生じることが示された。 また、家族間コミュニケーションを円滑なものにし、肯定的感情や自己肯定感を高めるためのロールプレイング技法の開発を行った。自分の大切なもの(宝物)を擬人化し、即興劇を通じて、その宝物との対話を試みる「トレジャーズメッセージ」による情動体験の変化について検証した。宝物との対話は宝物にまつわる思い出を喚起し、温かな情動や自己肯定感の高まりを支援することが示された。また、即興劇を用いて親子関係に生じる様々な危機や課題を振り返り、多角的な視点の獲得が行われることが示された。 さらに、これらの実証研究で検証された臨床心理学的技法を用いて、発達障害児の親の会やアルコール依存症者の家族会における実践を試み、その効果や必要となる配慮点の検証を行った。
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