2021 Fiscal Year Research-status Report
東京市部のホームレスの実態と支援施策に関する実証的研究
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20K02295
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
大岡 華子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90647249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホームレス / 生活困窮者 / 生活困窮 / 貧困 / 低所得 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、国社会、経済の様々な面に大きな変化をもたらした。特に経済や生活面への影響は大きく、コロナ感染症拡大による失業・休職や所得の減少だけではなく、生活への見通しが立たないことや在宅勤務による家族関係の悪化等の問題を生み出した。2021年度も国は、緊急小口資金等の貸付や住居確保給付金などの支援を実施した。また、国や地方自治体でも、動画やSNSの活用や外国人向けのチラシの作成や「生活保護は権利です」というポスターの作成などの支援制度の活用の取り組みが行われるようになった。民間の支援団体もコロナ禍での生活困窮者支援に力を入れ、街頭で相談会の実施、食料配布の拡大、電話相談会の実施など、継続的に支援が行われている。加えて、コロナ禍で支援を必要とする人々も増加し、支援を必要とする人々の抱える問題も多様で一人一人異なっていることが明らかになった。 2021年8月現在、東京都内のホームレス数は、約800人と減少傾向にあるが、全国でホームレスが多く住んでいる地域である。長引くコロナ禍で借金を抱えている人々も多く、生活困窮者が住まいを失う可能性が高まっている。例えば、雇い止めや日雇いの仕事の減少により家賃等が支払えない人が住宅を失う可能性がある。住居確保給付金の対象等も緩和されているが、給付が受けられない場合や給付期間が終了した人も住宅を失う可能性がある。加えて住む場所を失った人たちが利用するネットカフェや、公的支援の施設には相部屋が多く、感染のリスクが高まることから、住宅を確保することが重要である。 本年度は、東京市部のホームレス支援団体の活動にかかわりながら、東京の各自治体のホームレス施策や生活困窮者施策、支援団体の状況の把握を行った。また、研究会や講演会に参加し、コロナ禍における生活困窮者支援の現状や生活保護制度の課題について研究を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、コロナ禍により、ホームレスへのインタビュー調査の実施が困難であった。また支援団体との対面での打ち合わせや活動への参加も感染リスクを減らすため、減らさざるを得なかった。そのため、本年度は、行政資料や文献等の収集、研究会や講演への参加等を中心に研究を進めざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス感染対策をしつつ、可能な範囲で、ホームレス支援団体の活動への参加や打合せをしたうえで、ホームレスへのインタビュー調査を実施する予定である。コロナウイルス感染拡大の影響もあり、ホームレス支援や生活困窮者施策も常に変化していることから、引き続き、ホームレス支援や生活困窮者施策やそこで明らかになった課題等について把握し、論文として投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大により、予定していた調査が実施できなかった。研究に必要な文献も今年度も例年よりも出版数が少なく、予定した金額の書籍を購入できなかった。オンラインで実施される研究会も増えたため、旅費の支出がなかった。
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