2020 Fiscal Year Research-status Report
Housing and life support services for the urban elderly: a study on urban housing policy
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20K02304
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
山本 理奈 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (50708500)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市 / 住宅 / 政策 / 高齢者 / 生活支援 / 消費者主導ケア / 居住福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、豪州における高齢者在宅ケアシステムの改革を調査することを通して、わが国が参照すべき点を抽出し、地域の居住福祉の観点から、都市住宅政策上の課題を明らかにすることにある。 現在、日本の大都市圏では、急速な高齢化に伴う高齢者住宅の深刻な不足が懸念されている。この状況を改善するため、①特養・老健などの介護保険系の施設、②有料老人ホーム・認知症グループホームなどの福祉系の高齢者住宅、③サービス付き高齢者向け住宅などの「居住系の高齢者住宅」の供給増加が期待されている。①と②が住まいと生活支援サービスを包括的に提供するのに対し、③の「居住系の高齢者住宅」の特徴は、住宅の賃貸契約と生活に必要なサービスを切り離し、サービスについては消費者のニーズに応じて、個別に外付けする仕組みを導入している点である。ただし、介護保険の適用外となるサービスの使用が重なると費用が高額となるため、こうした生活支援サービスを消費者の視点から適切に機能させるための制度改革が必要とされている。 この点、参考となるのが豪州における制度改革である。現在、豪州では、連邦政府が2012年に発表した10ヵ年の制度改革の影響を受け、高齢者の在宅ケアシステムは大きな変化の渦中にある。それゆえ本研究では、変化の中心を担う「消費者主導ケア」の導入に着目し、2020年度は、1)政府および研究機関による調査報告書の収集・分析、2)地方自治体の刊行物の収集・分析、3)都市住宅局関係者への聞き取り調査を行うことを予定していた。しかしCOVID-19の影響により、現地での資料収集および聞き取り調査を行うことが困難となったため、南オーストラリア大学およびアデレード大学を中心とする研究ネットワークを駆使して必要なデータを収集し、先行研究の整理や既存データの分析を行うことに注力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、COVID-19の影響により現地での資料収集および聞き取り調査を行うことが不可能となったため、当初の研究計画を変更せざるをえず進捗状況に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
豪州における「消費者主導ケア」とは、サービスを利用する本人が必要とするケアの種類やその受け方の決定過程に関与し、個人予算のもと、金銭的な管理の面でも透明性を高めるためのものであり、日本における生活支援のあり方を検討するうえで参考となる取り組みである。 本研究では、この消費者主導ケアの導入に着目し、豪州における高齢者在宅ケアシステムの改革に関する現地調査を実施する。具体的には、①都市の高齢者住宅に関する政策、②高齢者住宅の供給業者の動向、③先進的事例と居住者の住まい方の実践、以上の三点を中心に次年度以降調査を行う。 ただし、COVID-19の状況次第では、現地での資料収集および聞き取り調査を行うことは不可能になることが予測される。とくに高齢者を対象とする対面での聞き取り調査は困難となる可能性が高い。その場合、1)政府による統計データ、2)研究機関による調査報告書、3)地方自治体の刊行物、4)プロバイダーの年次報告書、以上を中心にデータ収集を行い、日豪の比較分析に重点をシフトする。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、2020年度は現地での資料収集および聞き取り調査を行うことが不可能となった。そのため、翌年度に調査関連費用を繰り越すこととした。
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Research Products
(3 results)