2020 Fiscal Year Research-status Report
非正規シングル女性への「社会保障リテラシー」獲得による自立支援に関する研究
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20K02311
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
森 詩恵 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (30341283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 良子 大阪経済法科大学, 経営学部, 教授 (10183089)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非正規雇用 / シングル / 女性労働 / 社会保障 / 貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、労働と社会保障の視点から、非正規シングル女性の生活実態を明らかにしたうえで、生活のリスクを認識し、その対策を講じられるよう「社会保障リテラシー」を獲得することの効果・意義とその自立支援政策を検討することである。本研究の学術的問いは、①「非正規シングル女性」は、現在また将来に非常に多くの生活リスクを抱えているにも関わらず本人及び行政が生活リスクに備える意識、その支援が不十分な状況ではないか、②「非正規シングル女性」が生活リスクを認識し、生活展望の変化を遂げるために、生活リスクに対応できる「社会保障リテラシー」獲得による自立支援がその解決策の一つではないかと、いう点である。 今年度の研究成果は3つある。一つ目は、非正規シングル女性に対する労働・社会保障の全国規模(大阪市、福岡市、札幌市の30歳代~50歳代まで合計600名)に対するwebアンケート調査を実施した。主な結果は、①非正規シングル女性は「個人年収300万円未満」が86.4%を占め、さらに厳しい「個人年収200万円未満」は 48.7%、②非正規シングル女性は初職から「非正規雇用」が57.3%。③非正規シングル女性の62.6%が「自ら望んで非正規雇用を選択」、④雇用期間の定めがある非正規雇用シングル女性のうち約半数の55.2%が現状から「変更を希望していない」、⑤非正規シングル女性65.5%が「社会保障の知識を得たい」と回答したが、「どれに加入しているか分からない」が1割弱。⑥どの社会保障においても「詳しく知っている」人は、約5~18%程度、であった。2つ目は、非正規シングル女性に対する支援団体及び企業へのヒアリング調査先の選定を行い今後の計画を立てた。3つ目は社会保障リテラシー獲得に向けた学習プログラムの開発についての資料収集を行い、その開発に取りかかったことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度に設定した研究計画である、①大阪市、福岡市、札幌市の非正規女性に対するアンケート調査の実施・分析を行った、②ヒアリング対象先の選定を行った、③社会保障リテラシー獲得に向けた学習プログラムの開発に関する資料収集を行い、開発に着手した、の3つを実施している点から、研究は順調に進んでいるといえる。また、アンケート調査結果についても速報として社会に向けて公開した。また、市民向け講座においてもアンケート調査結果の報告を行い、一部の内容は新聞記事にも 取り上げられ、非正規シングル女性の現状を広く社会に知ってもらうことに貢献した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、①2020年度に実施したアンケート調査の詳細な分析を行い、先行研究との比較分析も行う。また、②アンケート調査結果の公表については、学会報告を行う予定である。また、選定したヒアリング先に対して、非正規シングル女性の雇用実態に関するヒアリング調査分析を行い、③「社会保障リテラシ-」獲得に向けた学習会のプログラム開発と学習会を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ヒアリング調査の打ち合わせなどがオンラインとなり旅費が使用できなかった。また、対面での講師等を招いて研究会も実施できなかったため、予算が次年度使用となった。
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